米ドル/円  日足

週間予想レンジ:104.50~106.50

メインストラテジー:レンジ取引

・一旦7月安値割れを持ち直し、底堅い
・クロス円経由の円高圧力で頭重い
・円は主体性を失い、米ドル次第、外貨次第

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週大きく切り返し、「底割れ」を回避した模様。ここで言う「底割れ」とは7月安値を割り込むことを意味するが、先週週明けから一旦割り込んだものの、当日陽転。その後もほぼ一貫して切り返しを継続し、一旦105.71円を打診できるほどの力強い切り返しを果たした。この意味では、我々が繰り返し指摘してきたように、円高の懸念があっても限定的で、リスクオフの円高云々は杞憂であったと言えよう。

もっとも、「安倍ショック」の8月28日大陰線を下回ったことが大きなサインだった。既述のように、9月15日までの値動きで形成された「インサイド」の下放れを果たし、このまま下値打診を継続してもおかしくなかった。この視点では、7月安値の一旦割り込みは当然の成り行きであったが、104円関門を維持したところ、逆に新しいサインの点灯につながった。

言ってみれば、8月28日安値の割り込みがあっても、7月安値の割り込みがあっても、米ドル/円は継続的に下値を打診せず、逆に再度105円関門を回復。また106円大台を伺う値動きを見せてくれること自体が大きなサインである。それは他ならぬ、「フォールス・ブレイクアウト」、即ち下値突っ込み自体が「ダマシ」であった可能性を示唆している。

8月28日大陰線を「母線」とした「インサイド」のサイン、目先下放れの「ダマシ」を認定するには時期尚早であるが、7月安値の一旦更新が「ダマシ」であったことを105円関門の回復で認定できるかとみる。先週安値をトライした後、ほぼ一貫して切り返してきたところも、大きな証左と見なす。

繰り返し指摘してきように、そもそも円は主体性を失い、主要外貨のうち一番弱かった。リスクオフの円高云々はもう過去のロジックであり、3月のコロナショックにおける大型V字型反転は強力な証左材料だった。

ドルインデックスの安値、3月安値より289pipsほど一時下回ったにも関わらず、米ドル/円は先週の突っ込みがあっても3月安値より300Pipsに近い上の水準を維持していたため、リスクオフの円高は大袈裟であった。

従って、3月高値を起点とした反落、延長、また大型化されても、基本的にはこの前の大型V字型反騰に対するスピード調整と見なし、3月安値の割り込みがなければ、あくまで調整波と位置づけられる。

より長い視点では、3月高値を起点として調整波、大型ジグザグ変動パターンと数えられ、6月高値109.86円から「3月高値~5月安値」の値幅で測る(要するにN字型変動)104.10円前後の下値目途が得られたわけなので、7月末の安値は同計算値に近く、また7月31日の大幅反騰を果たしたため、N字型変動の完成を示唆していた。

そうなると、先週の一時安値の更新、またその後の力強い切り返しは同見方の否定ではなく、むしろ強化するサインとなるであろう。要するに一時の安値トライは「ダマシ」となり、帰って底固さが証明されたとみる。

半面、ドルインデックスの切り返しも進行中である。米ドル高・外貨安の流れで、英ポンド/円などクロス円の反落が円高圧力と化し、米ドル/円の頭をしばらく抑え込む可能性も高い。従って、先週の値動きで下値リスクを後退させたが、たちまち上放れするのも容易ではなかろう。中段保ち合いを想定し、今週もレンジ取引のスタンスで臨みたい。

豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:72.50~75.00

メインストラテジー:戻り売り

・75円関門割れで地合いを悪化
・豪ドル/米ドル次第だが、ブル基調は一旦消滅
・調整波の一環として下値余地の拡大の公算

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週大きく続落し、75円関門以下の終値をもって地合いを悪化させた。もっとも、豪ドル/米ドル次第の側面が大きかったが、米ドル全体の切り返しで豪ドル/米ドルの反落が確定。またしばらく継続される見通しで豪ドル/円も当面は下値トライしやすい環境にあると推測される。

実際、9月に入ってからほぼ一貫して切り下げ、9月9日や9月11日の2日を除き、ほぼすべての取引日が陰線で大引けしたほど一本調子の反落となった。9月9日安値76.11円割れ後の下落モメンタムも強化され、75円心理大台の直接打診や割り込み自体が弱気変動のサインと見なされる。

9月9日の陽線の存在意義は6月、7月高値で形成された元抵抗ゾーンの一旦確認にあった。同日安値の割り込みで元抵抗ゾーンが新たな支持ゾーンと化しないことが示され、豪ドルの売りに一層弾みがついたわけだ。

そうなると、6月高値、7月高値の間の安値は6月12日の72.51円まで当面、大した支持ゾーンを得られないかと思う。目先はショート筋の優勢が明らかで、9月に入ってから連続安となったところで若干オーバーショート感があっても、更なるオーバーにつながりやすいことを覚悟する。

更に、6月、7月高値や6月12日安値で形成されたフォーメーションは「上昇トライアングル」であったため、その後の上放れで本来80円心理大台の直接打診があってもおかしくなかった。

しかし、8月末に78円台半ばに留まり、その後逆一直線に反落し、更に75円心理大台以下の大引けが確認されたため、前記フォーメーションの消滅のみではなく、同フォーメーションに対する上放れ自体が「ダマシ」であったことを暗示し、目先の下値リスクを示唆している。

従って、今週は75円心理大台が一転して抵抗となり、72.51円までの下値打診なしでは反落波の終焉を安易に思わないほうが得策であろう。一時的にせよ、72円関門のトライも覚悟した上で、戻り売りのスタンスで臨みたい。

度々強調してきたように、円は主体性を失なっているため、あくまで豪ドル次第だが、英ポンドやユーロの反落に出遅れた分、しばらくは豪ドル/米ドルの下値リスクの拡大を警戒しておきたい。