前回コラムは、「騰落レシオの長短クロスとTOPIXのフシ抜けが、9月上放れの重要なポイントになるでしょう」という言葉で締めくくりましたが、その直後にそれが実現いたしました。しかし、依然としてTOPIXは上値追いには至っていない状況です。

もしかすると、長期トレンドを示す200日移動平均線の傾きのせいなのかもしれません。現在の株価と200日前の株価を比べれば、200日移動平均線の傾きがわかります。現在から当面の株価水準が200日前の株価よりも高そうなときは上向き継続、当面の株価水準が200日前よりも低そうなときは下向き継続というイメージがつきます。

現在、TOPIXは1,609.74ポイント(9月7日現在)で、200日前の2019年11月中旬ごろは概ね1,700ポイント前後です。200日前の水準はここからゆっくり上がっていきます。株価が今のままだと、そのマイナス差が大きくなり、200日線の下向きが継続することが見込まれます。ただ、今の株価が200日前の上昇スピードを上回るような強い上げとなれば話は別です。

では、「いったい、いつになると上向きに変わりやすい環境になるのか」というと、「コロナショック時の急落期間が200日前に来るようになってから」ということになります。現在の株価水準を概ね維持できることが条件になるのですが、ざっくり3ヶ月程度はかかることになります。ということは、12月上旬です。それまでは上げ下げの繰り返し、という想定もできてしまいます。

一方、マザーズ指数の200日移動平均線は右肩上がりです。2019年の水準以上に上昇しているので、当然でしょう。そのため、日本株全般の値幅調整があっても、マザーズ市場の方は持ち直しが早く、依然として優位性が高い状況です。

マザーズ指数は2018年1月に高値を付け、調整が長く続きました。中途半端に戻ることなく、3月安値まで下げ続けた分、長期のトレンドが変わると勢いが違います。年末のIPOラッシュで盛り上がるなら、2018年高値まで1割超に迫った距離はそんなに高いハードルではないかもしれません。(9月7日大引け後に執筆)