「コロナ後」大幅に上昇する英ポンド

英ポンドは、3月の「コロナ・ショック」とされた世界的な株大暴落が一段落した後から、対円で14%以上、対米ドルでは18%以上と大幅に上昇した。これは、豪ドルの上昇には及ばないものの、ユーロの上昇は上回るものだ。

それにしてもこのような英ポンドの上昇は、英ポンド自体が買われたというより、むしろ米ドル売りの結果ということが基本ではないか。要するに、「コロナ後」米ドル売り大相場の中で、結果的に英ポンドも大きく上昇したということだ。

では、かりに米ドル売り相場がまだ続くとして、英ポンドはさらに買われるのだろうか。今回は、英ポンドにとってポジティブ、ネガティブそれぞれの要因を確認してみたいと思う。

ポジティブな要因は、これほど米ドルに対して上昇した割には、まだ英ポンドはとくに「買われ過ぎ」が懸念されるような状況ではなさそうだということ。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の英ポンド・ポジションは、足元でも小幅な買い越しにとどまっている(図表1参照)。

【図表1】CFTC統計の投機筋の英ポンド・ポジション (2015年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

同じCFTC統計の投機筋のポジションで、ユーロが記録的な買い越しになっていることなどを参考に、当面米ドル売りの対価として買うならユーロより英ポンドとの考え方が出てくるのはわからなくなさそうだ。

ただ、そんな英ポンドだが、とくに対円では金利差から大幅にかい離した英ポンド高となっている(図表2参照)。金利差の裏付けのない中での英ポンド高がどこまで続くかは気になるところだ。

【図表2】英ポンド/円と日英金利差(2019年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

また、英ポンド/円の90日MA(移動平均線)からのかい離率は、経験的に5%以上は上がり過ぎ警戒域といえる(図表3参照)。それを参考にすると、足元の90日MAが135円程度なので、それを5%上回った水準は142円、10%上回った水準は148円程度といった計算になる。

【図表3】英ポンド/円の90日MAからのかい離率(2010年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

以上を参考にすると、すでに短期的な「上がり過ぎ」警戒域に入り始めており、このまま上昇が続いても、経験的には150円を上回るのは難しそうな見通しといえそうだ。