上海総合指数は横ばい基調での株価推移

8月前半の上海総合指数は横ばい基調での株価推移が続いています。政策期待や経済指標などの材料によって株価が動く一方で、高ければ売りが入り、安ければ買い戻しが入るといった展開で、結果として横ばいの株価推移となっています。

例えば8月11日(火)には下半期の経済政策について政府要人が発言したことから金融緩和と財政投資拡大への期待感が膨らみ、プラス圏の推移が続いていましたが、終盤1時間でマイナス圏に沈みました。

8月12日(水)には前日11日の夕方に発表された中国の7月のマネーサプライ(M2)が10.7%増と、市場予想の11.2%増や6月実績の11.1%増を下回ったこと、新規人民元建て融資も9927億元と市場予想の1兆2000億元や6月実績の1兆8110億元を下回ったことが嫌気され中盤に大きく下落しましたが、終盤に下げ幅を縮小して長い下髭をつけています。

また、8月14日(金)は午前中に発表された7月の中国の小売売上高が前年比1.1%減となったことや(市場予想0.1%増、6月実績1.8%減)、7月の鉱工業生産が前年比4.8%増となったことを受けて(市場予想5.2%増、6月実績4.8%増)マイナス圏での株価推移が続いていましたが、人民銀行が公開市場操作で市場に流動性を供給したことや償還を迎える中期貸出制度の資金を継続すると発表したことから金融株を中心に終盤に反発し、プラス圏で取引を終えました。

経済指標では7月の輸出が前年比で7.2%増(6月実績0.5%増、市場予想0.6%減)となるなど、強い指標も出ているのですが、全般的に8月前半に発表された指標は市場予想を下回る傾向がありました。ただ、その一方で弱い経済指標は政策期待を高めますので、そのことによって買い戻されるといった展開が続いている様子です。

香港ハンセン指数は小幅高に

一方で7月までは上海総合指数よりも弱い動きが続いていた香港ハンセン指数ですが、8月上旬は小幅高となっています。米国の長期金利が上昇したことから金融株が全般的に堅調で指数の支えとなりました。また、香港の新型コロナウイルスの新規感染者数の減少を好感して香港のディベロッパー株が買われた他、マカオが8月12日から個人観光ビザの発給を段階的に再開すると伝わったことからサンズチャイナ(01928)など、カジノ株も買われました。

米中対立の懸念

しかしその一方、米中対立の激化が懸念されました。特にトランプ米政権がテンセント(00700)の運用する「微信(ウィーチャット)」に係る取引を禁止したことでテンセント(00700)が軟調な動きとなり、もしも「微信(ウィーチャット)」がiPhoneで使えなくなれば、中国のiPhoneの販売台数が落ち込むのではないかとの懸念からアップルに部品を供給している瑞声科技(02018)も売られました。

米中対立については、8月15日前後に予定されていた貿易合意に関する協議が無期延期になったり、台湾が米ロッキード・マーチン製戦闘機F16を購入することに合意したりするなど、悪材料が続いており、8月後半も株価の重しとなりそうです。

中国大手ネット企業の強い業績

一方、テンセント(00700)は、8月12日に4-6月期の業績を発表しましたが、純利益は市場予想の272億9100万元を超える前年同期比37.2%増の331億700万元となり、ゲーミング事業について強気の見通しを示すなど、米国の影響で株価は軟調ですが、業績は予想以上でした。

その他でもネットイース(09999)の第2四半期の純利益が市場予想の36億3000万元に対し、実績は前年同期比47.7%増の45億3800万元となるなど、やはり大手ネット企業は予想よりも強い業績となっています。その他の大手ネット企業の決算発表は、アリババ(09988)が8月20日、美団点評(03690)が8月21日、小米(01810)が8月26日に予定されています。

引き続き、これらIT大手の決算発表には注目です。なお、8月14日(金)の引け後にハンセン指数の銘柄入れ替えが発表され、中国神華能源(01088)、信和置業(00083)、中国旺旺(00151)の3銘柄が除外され、アリババ集団(09988)、小米集団(01810)、薬明生物技術(02269)の3銘柄が採用されています。