三連休明けの今週は夏休みをとる投資家も多く、商いも閑散となり動意に欠ける展開がメインシナリオとして想定される。狭いレンジ内のもみ合いに終始するだろう。例年なら「夏枯れ」となるが、しかし今年は少し状況が異なるかもしれない。新型コロナで帰省や旅行にいきたくてもいけない人がかなりいるのではないか。在宅勤務が定着して個人投資家の売買が増えたのと同じように、今年の夏休みは「巣ごもり」で個人の商いが増える可能性がある。案外、活況になるかもしれない。その意味では新興市場に注目だ。主要企業の決算発表は佳境を過ぎたが、新興市場は今週がヤマ場だ。11日にワークマン(7564)、12 日に日本マクドナルドHD(2702)、フリー(4478)、13日にラクス(3923)、JMDC(4483)、そーせいグループ(4565)、メドピア(6095)、14日にChatwork(4448)、メドレー(4480)などの決算発表がある。好決算で急伸したメルカリ(4385)が18年6月のIPO初値5,000円を奪回したことも個人投資家のセンチメント改善につながり新興市場銘柄物色が盛り上がりやすい。
主要企業の決算発表は佳境を過ぎたと述べたが、今週は11日にソフトバンクグループ(9984)、楽天(4755)、GMOインターネット(9449)、NTT(9432)、13日に富士フイルムHD(4901)、電通グループ(4324)、三菱商事(8058) などの決算発表が控えており、まだまだ目が離せない。
今回の4-6月期決算は「想定以上に悪かった」と受け止められている感があるのは、アドバンテスト(6857)、レーザーテック(6920)、 SUMCO(3436)など期待の高かった半導体関連銘柄がネガティブ・サプライズとなった印象が強いからだろう。しかし、この4-6月期決算はもともと大幅減益は避けらないと事前に思われていたから、想定通りだろう。日経新聞に掲載される決算集計(決算ダッシュボード)を見ると、3日時点で純利益が前年同期比78%減だったのが7日時点では68%減まで10%も改善している。決算発表が進むにつれ、意外に健闘する企業が出てきているということだ。今週発表の主要企業の顔ぶれを見ると、さらに減益率が改善する期待も持てる。
トランプ米大統領は8日、失業給付の上乗せなどを盛り込んだ追加の新型コロナウイルス対策を、大統領令で急きょ発動した。週明けの市場はこれを好感しているようだ。アジア市場の主要市場は香港を除き上昇しているし、ダウ・ミニ先物も100ドル程度高い(10日午後4時現在)。野党・民主党は憲法違反だと反発しているが法廷闘争に進展する可能性は低いだろう。秋には大統領選だけでなく議会選もある。ここで民衆の反感を買うような行動に出るのは得策でないことは誰でもわかる。大統領にもとづく給付が行われるか定かではないが、これが与野党が歩み寄るきっかけにはなるだろう。市場はそれを好感しているのだろう。
冒頭に戻ると、夏休みで市場は閑散というのがメインシナリオだ。しかし、同時に「閑散に売りなし」でもある。日経平均は一目均衡表の雲の上限に沿って底堅く推移するだろう。
今週の予想レンジは2万2200円~2万2600円とする。