株反発と連動した米ドル売り・ユーロ買い拡大

ヘッジファンドなど投機筋の米ドル売り拡大が続いている。そしてその中で最も大きなシェアを占めているのは対ユーロのようだ。その意味では、米ドル買い戻し局面ではユーロ売りが強まる可能性も注目される。

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジション(日本円、ユーロ、英ポンド、カナダドル、スイスフランの5通貨のポジションをもとに試算)は、「コロナ・ショック」の世界的株大暴落が一段落した3月末から売り越しに転換し、足元では売り越しが10万枚以上に拡大してきた(図表1参照)。

【図表1】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション (2017年~)
(出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成)

ところで、この米ドル売りの中で、最も大きなシェアを占めているのは対ユーロと見られる。ユーロのポジション(対米ドル)は、米ドルとは逆に3月末から買い越しに転換し、足元では買い越しが12万枚以上に拡大してきた(図表2参照)。

【図表2】CFTC統計の投機筋のユーロ・ポジション (2017年~)
(出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成)

以上のように見ると、3月末以降の株価反発局面の中で、為替取引においては米ドル売りが拡大し、その中心が対ユーロだったことがわかる。株反発局面での米ドル売り拡大は、低利で調達した米ドルを売って、株などに投資する「ドル・キャリー」の可能性を感じさせるものだ。

その意味では、株が下落し、「ドル・キャリー」の反動から米ドル買い戻しとなった場合は、ユーロ売りが拡大する可能性が注目されるのではないか。