コロナ禍で延期される株主総会・決算発表

6月も終わり、2020年も折り返し地点を越えました。例年であれば、株主総会は決算期末から3ヶ月以内に行われるので、3月を決算期末とする会社が中心の国内では6月末までに多くの株主総会が終了しています。決算短信は決算期末から45日以内にまとめられることが適当とされているため、例年であれば3月決算会社は5月中旬までに決算発表を行い、6月中には株主総会を行っています。

しかし、2020年はご存知の通り、特別な対応が行われており、株主総会や決算発表を延期する会社が相次いでいます。たとえば「いきなりステーキ」で知られるペッパーフードサービス(3053)は2020年1月から3月の決算発表を2020年7月31日に実施するとのことです。2019年は5月10日に行っていたので、例年1ヶ月10日で決算発表していたのが、4ヶ月になるということです。実に3倍もの時間がかかっている計算になります。

経営再建途上にある東芝

グローバルに事業を展開している会社も世界情勢の混乱もあり、決算・株主総会を延期する会社が増えています。その一つである東芝(6502)は、決算発表を6月5日、株主総会は7月31日に実施することになっています。

いずれも昨年より1ヶ月程度遅い日程です。ご存知の通り、東芝は不正会計疑惑が発生し、2015年に特別調査委員会・第三者委員会を設置、同年7月には過去の決算報告を修正するなどの事態を受け、代表執行役社長を含む多くの経営陣や過去の社長経験者らが辞任しました。

合わせて、過去に買収した米国の原発会社の減損も発生し、2016年3月期は4,600億円、2017年3月期には9,700億円の巨額な最終赤字となり、経営危機に陥っていました。2017年には巨額赤字を受け、債務超過となり、東証二部に降格することになりました。

その間、医療機器製造子会社、不動産子会社、そして冷蔵庫・洗濯機・掃除機など認知度の高い白物家電事業など子会社の売却を進め、経営再建を進めています。2018年には虎の子であった半導体事業(旧東芝メモリ)を売却し、会社の規模自体は小さくなったものの債務超過は解消し、再建が進んでいます。2020年4月には東証および名証に一部上場を申請し、名実ともに再建と言える段階まで来ています。

東芝にアクティビストが株主提案

その東芝に対して、アクティビストが7月の株主総会で株主提案を行い、注目を集めています。東芝は直近の時価総額が1.6兆円と決して小さい会社ではありませんが、同業の日立(6501)の時価総額3.3兆円、三菱電機(6503)の3.1兆円と比べると小さくなっています。

東芝は東芝メモリ売却時に再出資を実施しており、現在はキオクシアという社名になった同社株を保有し、その資産価値は高く評価されています。旧村上ファンドのメンバーで構成されている「エフィッシモキャピタル」というアクティビストが東芝株の15.4%を保有し、他にも複数のアクティビストが東芝株に投資しています。

次回以降、どのような株主提案が出されているかを見ていきましょう。