東京市場まとめ

1.概況

本日の日本市場は米国株安を受けて5日ぶりに小幅反落となりました。日経平均は108円安の21,807円で寄り付くと10時15分過ぎに205円安の21,710円まで下げ幅を広げましたが、持ち直すと62円安の21,854円で前場の取引を終えました。48円安でスタートした後場は再び下げ幅を三桁に広げましたが128円安で切り返すとプラスに転じ14時40分前には39円高の21,955円まで買われ本日の高値を付けました。しかし、日経平均は節目の22,000円を前に上値が重く引けにかけて下落に転じると結局38円安の21,877円で取引を終えています。

一方で新興市場は堅調で東証マザーズ指数が反発し25日に付けた年初来高値を更新したほか、日経ジャスダック平均は11連騰となっています。

2.個別銘柄等

仏ルノーと三菱自動車工業(7211)との3社連合で競争力と収益性を高める新たなアライアンスの取り組みを発表したことで昨日に8%以上上昇した日産自動車(7201)ですが本日は一転して大きく下げました。昨日の取引終了後に発表した決算で2020年3月期の最終損益が6712億円の赤字に転落したことが嫌気され10.8%安となりました。収益の底入れ期待から昨日に7%高となったリクルートホールディングス(6098)も本日は国内大手証券が投資判断と目標株価を引き下げたことで売られ3.6%安となっています。さらに昨日の引け後に決算を発表したニコン(7731)も2020年3月期の営業利益が9割を超す大幅な減益となったうえ、期末配当を減額したこともあって9.1%安と大きな下げとなりました。

一方で北九州市で新型コロナウイルスの新規感染者の増加が続いていることから感染拡大の第2波が意識され除菌関連の大幸薬品(4574)やニイタカ(4465)が急伸しました。大幸薬品が16.4%高、ニイタカが9.9%高となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は5日ぶりに反落となりました。昨日時点での日経平均の25日移動平均線との乖離率が8.6%まで広がり、東証1部の騰落レシオも136.3%まで上昇するなど短期的な過熱感が高まるなかでは当然の上昇一服だといえます。しかし、下げ幅も38円と4日間で1,500円以上上昇した後としては小幅で過熱感への警戒よりも先高期待の方がまだ勝っているといった印象です。

こうしたなか来週は海外で重要な経済指標の発表が相次ぎます。4月下旬から続いてきた決算発表は新型コロナウイルス感染拡大により決算発表を延期した一部の企業を除き今週で一段落となりますが、来週は31日の日曜日に中国の製造業と非製造業のPMIが発表されるほか、6月1日に米ISM製造業景況感指数が、3日に米ISM非製造業景況感指数が、そして週末に米雇用統計が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)