英ポンド/米ドル (1.1760〜1.2750) 5月28日〜6月3日まで
アナリシス:
皆さま、こんにちは! いよいよ来月から、英国のEU離脱に向けた具体的な協議が始まります。欧州における新型コロナウイルスの猛威もあり、遅れていた交渉が前進する見込みです。英国側の交渉責任者はデービッド・フロス氏で、ジョンソン首相は協議の進展状況を正式に評価すると語ったとロイター紙が報じています。
英国はEU離脱の移行期間は年内いっぱいとしており、英国側が期限延期をすることはないと強調しています。
そんな中、ジョンソン首相は5月27日の定例記者会見で6月27日から衣料品店や家電量販店など全ての小売店舗の営業再開を許可すると発表しました。イングランド全域が対象で、店舗内に顧客同士の社会的距離を維持するための措置を施すことなどが条件となります。またこれに先立ち、屋外市場と自動車のショールームは6月1日から営業を再開できる模様です。
5月中頃からはユーロ高の動きも見られ、ユーロ買いが優勢となっています。欧州委員会は5月27日、新型コロナウイルス流行による経済危機からの復興計画を公表。総額7,500億ユーロを投じて、欧州連合(EU)加盟各国の経済回復を支援します。そのうち、5,000億ユーロは補助金に、2,500億ユーロは融資に充てる計画で、資金は欧州委員会が市場で調達するとしています。
計画の名称は「ネクスト・ジェネレーションEU」で、3本の柱から構成されています。
1本目の柱は、各国の公共投資や改革の支援で、その目玉となるのが総額5,600億ユーロの「復興・回復ファシリティー」。ユーロ圏だけでなく加盟27ヶ国すべてを対象に、補助や融資を行いますが、打撃が大きく財政力の乏しい国に重点を置く見込みです。
2本目の柱は、民間投資の支援。新型コロナ危機で経営が悪化した有望企業の資本増強を支援する310億ユーロ規模の「ソルベンシー・インストルメント」を新設し、民間も含めた計3,000億ユーロの投資の誘発を目指します。
3本目の柱は、新型コロナ危機の教訓を生かした措置となり、医療システムの強化や今後の危機への備えとして、94億ユーロ規模の新医療プログラムを設置。また、災害危機管理制度「レスクEU(RescEU)」と研究助成プログラム「ホライズン」を、それぞれ20億ユーロ、944億ユーロ強化する他、域外諸国への支援も165億ユーロ増額します。
これらの復興計画が大打撃を受けているEU経済の下支えとなり、長期戦となる新型コロナウイルスとの戦いに耐えられるかが鍵となります。
この発表を受けてユーロ買いは加速しており、足元では欧州株価のみならず、米国、日本共に上昇傾向にあります。とはいえ、米国の新型コロナウイルス感染は依然として高い感染者数を出しており、実体経済も決して明るいニュースばかりではないことを見ると、一時的な急落には注意したいところです。
向こう1週間の重要指標です。
5月28日(木)
21:30 米・GDP確定値
5月29日(金)
18:00 EUR・消費者物価指数速報値
21:30 米・個人消費支出
24:00 米・パウエルFRB議長発言
6月 1日(月)
23:00 米・ISM製造業景況指数
6月 3日(水)
21:15 米・ADP雇用統計
23:00 米・ISM非製造業景況指数
それでは、月足チャートです。
トレンドレス下段。1.2070近辺の−2σまで一旦安値を付け、ヒゲを作っています。
ここで一旦下げ止まりになるのか、6月にサポートラインの1.2070を下に割っていくのかが重要なポイントになります。
続いて、週足チャートです。
トレンドレス中段。先週は−2σまで付けずに切り返してきており、一旦ミドル付近の1.2510近辺を目指すかどうかの場面です。
日足チャートです。
トレンドレス中段。バンドも狭まり、方向感のない状況です。
次に4時間足です。
トレンドレス中段。±2σのどちらかに来るまで手は出さないほうが良い場面と言えるでしょう。
上記の分析からエントリーポイントとして、
予想レンジ:1.1760〜1.2750
メインストラテジー:
買いをするなら
・1.2160付近での4時間足トレンドレス下段からの逆張りエントリー。
・1.2060〜90付近で日足トレンドレス下段からの逆張りエントリー。
・1.2015付近の週足サポートラインから逆張りエントリー。
・1.1740〜1.1780の週足−2σからの逆張りエントリー。
売りをするなら
・1.2345付近、もしくは1.2360付近の4時間トレンドレス上段からの逆張りエントリー。
・1.2074付近を下にブレイクしたら短期足を使って戻り目で順張りエントリー。
ターゲットは最長週足−2σタッチまで。
・1.2480〜1.2520付近の週足レジスタンスラインからの逆張りエントリー。