今週は日経平均2万円を挟んでの攻防となろう。25日線が緩やかに上向きで基本は戻り相場が継続しているものの、上値も重くなってきている。頼みの米国株の調整が続くようだと、日本株も下方へトレンドが転換する恐れもある。
最もリスクとして懸念されるものは、米中対立の先鋭化だ。ファーウェイへの制裁強化に対して中国側も報復の構えを見せている。ただ、トランプ政権と共和党による中国への強硬姿勢は選挙対策という色彩が強い。このタイミングで再び中国たたきが復活したのは、コロナの一番厳しい時を過ぎたのと、株価が順調に戻ったからだ。米国の対中強硬姿勢は株式市場のリスクだが、逆に言えば市場が人質のようなものだから、株価が下落基調を強めたりコロナの第2波の恐れが高まったりすれば、中国との対立もいったん棚上げとなるだろう。
まず週初めのGDPの発表に市場はどう反応するかだ。米国の雇用統計でさえ反応しなかった。過去の、しかも悪化は想定内のマクロ指標に、通常なら反応しないものだが、地合いが悪化していることもあって案外、強いネガティブな反応を示すかもしれない。
そのあとは、緊急事態宣言の解除観測が相場の支えになるだろう。新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が39県で解除された。残る8つの都道府県について政府は21日をめどに解除が可能かどうか改めて判断する方針だ。解除の可能性が高まれば経済再開期待で相場にも明るさが戻るだろう。また、中国で22日に開幕する全国人民代表大会(全人代)で政策期待が高まりやすいことも材料だ。
米国で21日にエヌビディアの決算発表がある。再びハイテク株が騰勢を取り戻すきっかけになるかもしれない。要注目である。日本では富士フイルムの決算発表に期待したい。
今週の予想レンジは1万9600~2万300円とする。