バリューアクトによる任天堂(7974)への投資が報道されたのは2020年4月21日でした。翌22日の任天堂株は前日終値の46,030円から一時1,000円以上上昇、結局950円(2.1%)高の46,980円で引けました。株式市場はバリューアクトの投資を好感したといえます。

バリューアクトは前回の記事でご説明したアドビや、国内でもオリンパス(7733)の投資などで実績があります。バリューアクトはウェブサイトで投資先と信頼感のある関係性を築き、会社とそのすべてのステークホルダーの利益を考慮した長期的な考え方で投資を行っており、短期的な利益の追求は行わないとしています。会社と協調して会社の価値を上げることで株価を上げていこうとする、アクティビストファンドといえるでしょう。

バリューアクトは任天堂株を約2%保有しているとのことです。日本では5%を超える株数を保有している場合、大量保有報告を出さねばなりません。その報告には保有目的などが記されるのですが、現在のところ大量保有報告は出されておらず、保有目的ははっきりと分かりません。報道によれば、バリューアクトは任天堂が世界で最も優秀なゲームメーカーであり、マリオやドンキーコングなどの強力な知財を有し、ソフトウェア開発会社としても世界的なエンターテイメントカンパニーとしても成長していくことが可能である、としています。

バリューアクトはそのスタンスからして、任天堂にグローバルなエンターテイメントカンパニーへの成長を促し、取締役を送り込むことなどを含めてアクティビストとして活動を行っていくと思われます。同社は任天堂をネットフリックス、ディズニー、テンセント、アップルのような、世界のエンターテイメント企業のリーダーになりうると見ているようです。

ネットフリックスとウォルト・ディズニーの時価総額はそれぞれ20兆円程度で、任天堂の時価総額は6兆円程度。もし、そうした変化が起こせれば株価の上昇余地は大きそうです。なお、直近の任天堂の株価は45,000円前後と、年明けからの株式市場の下落の中においても、直近10年での最高値圏を維持しています。任天堂の時価総額6兆円というのは、東証でいうと10位前後の時価総額となり、三菱UFJFG(8306)、ファーストリテイリング(9983)、リクルート(6098)を上回る水準です。ちなみに、ゲーム事業でライバルと言えるソニー(6758)は約8.5兆円です。

最近、世界的なステイホームの動きの中で任天堂のゲーム機「Nintendo Switch」の売れ行きは好調です。同社のゲームソフト「あつ森」こと「あつまれ どうぶつの森」はブームと言ってよいでしょう。こうした状況を考えると、任天堂が世界的なエンターテイメントカンパニーになることは夢でもなさそうです。

5月7日、任天堂は2020年3月期の決算を発表しました。次回はその決算から任天堂のポテンシャルを確認してみましょう。