2018年の安値を更新したトルコリラ

トルコリラ/円は先週にかけて最安値を更新した。トルコにおいても、新型コロナ・ウイルス感染者が急増しており、経済への打撃に対する懸念が拡大していることが主因とされる。

これにより、トルコリラ/円の90日MA(移動平均線)からのかい離率は、マイナス12%まで拡大してきた(図表1参照)。経験的には、かなり下がり過ぎ懸念が強くなってきた可能性がある。

【図表1】トルコリラ/円の90日MAからのかい離率(2000年~)
出所:リフィニティブ・データよりマネックス証券が作成

トルコリラ/円の90日MAからのかい離率は、2018年8月にマイナス30%以上に急拡大した。経験的には、同かい離率がマイナス30%程度まで拡大する「大暴落」が起こった後は、その後しばらく短期的な「下がり過ぎ」も限定的にとどまり、具体的には、同かい離率はその後数年に渡ってマイナス20%以上に拡大する可能性が低かった

これはトルコリラ/円だけに当てはまることではなく、たとえばメキシコペソ/円も2008年のリーマン・ショック後に同かい離率がマイナス30%まで拡大したが、その後は今年3月までマイナス20%以上に拡大することはなかった(図表2参照)。

【図表2】メキシコペソ/円の90日MAからのかい離率(2000年~)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券作成

以上のように、「大暴落」後はしばらく短期的な下がり過ぎ拡大も限定的にとどまる可能性が高い。コロナ問題は、そういった過去の経験則も覆し、トルコリラ/円を一段安に向かわせることになるのかを試しているともいえそうだ。