先週の日経平均は2,836円(17.13%)上昇し、上げ幅、上昇率ともに指数算出開始以来、最大を記録した。実質新年度入りとなる今週は、前週の大幅高の反動や期末要因の剥落、ドル円相場の円高への振れ、などから反落して始まるだろう。

先週の切り返しで、目先の底は入ったと思われるが、当然不安定な相場はまだ続く。再度、下値模索に向かうかどうかだが、ポイントは2つある。

ひとつは経済指標。今週は月末・月初に当たるため重要な経済指標の発表が目白押し。国内の経済指標では、失業率 、有効求人倍率 、鉱工業生産などが3/31に、日銀短観が4/1に発表になる。米国ではADP全米雇用リポート、ISM製造業景気指数が4/1、そして雇用統計とISM非製造業指数が4/3に出る。指標そのものがどんな数字になるかは意味がなく、それを受けた市場の反応に注目したい。「グランビルの法則」で有名なジョセフ・グランビルも、「ニュースは重要ではない。市場の反応こそが重要だ」と述べている。

今後発表される経済統計は悪い数字しか出ないに決まっている。先週のイニシャル・クレイムみたいに328万人などというけた違いの数字が出るので、「どれくらい悪化するか」とか「悪化度合いを見極める」とかというのは意味がない。ポイントは、悪い経済指標に対する市場の反応だ。イニシャル・クレイム同様に無視できるかどうか。

ひとつ違うのは31日に発表される中国の3月の製造業PMIだ。中国はいち早くコロナウイルスの封じ込めに成功しており、過去最低に落ち込んだ2月からどれだけ回復しているか注目される。

もうひとつのポイントは、外出自粛などに関する政府の警戒レベルがどう変化するかである。28日には新たに東京都と千葉県でそれぞれ60人以上の感染が確認され、全国で1日に確認された感染者の数が、初めて200人に達するなど感染拡大ペースが加速している。諸外国が都市の封鎖や外出禁止など厳しい制限を課しているのに比べ、日本は(法律の制約もあるので仕方ないが)「自粛要請」と対応の緩さが指摘される。先日の都知事による「週末の外出自粛要請」だけで東京の市場は動揺し下落した。政府による「緊急事態宣言」の発動と一段と踏み込んだ外出や移動、活動の制限要請が出されれば、市場は再びネガティブに反応するだろう。

よくよく冷静になれば、ここまで経済活動が世界的なレベルで停止しているので、いまさら東京のロックダウンが加わったところで、これまでの悪い状況とそんなに変わりがない。しかし、都市封鎖という心理的な衝撃で一時的に大きな下押し圧力がかかるだろう。政府もその点は考慮するだろうから、年度末の発動は避けるだろう。

引き続きボラティリティの大きな相場展開が予想される。レンジは1万7500円~1万9500円とする。