【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 19,173.98 ▼913.21 (3/20)
NASDAQ: 6,879.52 ▼271.06 (3/20)
1.概況
19日の米国市場は反発しました。ダウ平均は冴えない経済指標を嫌気して朝方に720ドル安余りまで下落しましたが、値ごろ感からの買いが入り切り返すとまもなくしてプラスに転じ取引終盤には540ドル高余りまで買われる場面もありました。ダウ平均は引けにかけて上げ幅を縮めたものの結局188ドル高の20,087ドルと20,000ドルの大台を回復して取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も160ポイント高の7,150ポイントとなっています。
先週末の米国市場は新型コロナウイルスの感染急増を受けてカリフォルニア州が原則として外出を禁じる命令を出し、ニューヨーク州も必要不可欠な業種以外の出勤を禁止したことなどから急反落となりました。ダウ平均はトランプ米政権による経済対策が早期に議会で可決されそうなことなどを好感した買いで朝方に444ドル高まで買われる場面もありましたが、買いが続かずマイナスに転じると大きく下げ幅を広げる展開となりました。引け間際に1,000ドル安近くまで売られる場面もあったダウ平均は結局913ドル安の19,173ドルで取引を終えています。また、ナスダック総合株価指数も271ポイント安の6,879ポイントとなっています。
2.経済指標等
19日発表の3月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数はマイナス12.7と前月の36.7から大幅に悪化し市場予想も下回りました。先週一週間の米新規失業保険申請件数も前週比7万件増の28万1000件となり市場予想を上回る悪化となっています。2月の米景気先行指標総合指数は前月比0.1%上昇し市場予想と一致しています。
先週末発表の2月の中古住宅販売件数は年率換算で前月比6.5%増の577万戸となり市場予想を上回りました。
3.業種別動向
19日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち7業種が上げ、エネルギーが6%以上上昇したほか、一般消費財・サービスも3%を超える上げとなりました。一方で4業種が下げ、公益事業が5%を上回る下落となり生活必需品も3%近く下げています。
先週末の業種別S&P500株価指数は全11業種のうちエネルギーを除く10業種が下げました。そのなかでも公益事業が8%余り下落したほか、生活必需品も6%以上下げています。また、不動産と資本財・サービスも5%以上下落しました。
4.個別銘柄動向
19日の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中18銘柄が上げました。そのなかでもマクドナルド(MCD)が9%近く上昇したほか、ウォルト・ディズニー(DIS)とゴールドマンサックス(GS)、ダウ(DOW)も6%以上上げました。一方でウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)が8%余り下げたうえ、コカ・コーラ(KO)も6%以上下げています。ダウ平均構成銘柄以外では、コンサルティング大手のアクセンチュア(ACN)が決算で売上高と1株利益が市場予想を上回ったことで5%近く上げています。また、配車サービスのウーバーテクノロジーズ(UBER)は最高経営責任者(CEO)が香港でのサービス利用に回復の兆しが出ていると話したことで急伸し38%以上上げました。
先週末の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中27銘柄が下げました。そのなかでもウォルト・ディズニー(DIS)とスリーエム(MMM)が9%以上下落したほか、コカ・コーラ(KO)も8%を超える下げとなりました。また、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)とゴールドマンサックス(GS)、キャタピラー(CAT)も7%を上回る下落となっています。一方でトラベラーズ(TRV)とシェブロン(CVX)、メルク(MRK)が上げ、トラベラーズが4%近く、シェブロンも3%以上上昇しました。
5.為替・金利等
19日の長期金利は0.05%低い1.14%となりました。先週末の長期金利は0.30%低い0.84%となっています。ドル円は基軸通貨であるドル資金を確保する動きが強まりドル高円安に振れ111円近辺で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
先週末の米国市場が急反落となったことや、東京五輪が延期される可能性が出てきたことを受けて本日の日本市場は下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の16,000円を試すような動きをみせるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)