週初から大波乱の東京株式市場に

いったい、この売り方優位の相場はいつまで続くのか。3月16日の週初から大波乱の東京株式市場でした。日米の大規模な金融緩和措置が緊急で実施されましたが、株価下落のストッパー役にはなりませんでした。現時点ではですね。

米連邦準備制度理事会(FRB)は緊急で米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.00~1.25%から0.00~0.25%へ引き下げました。ゼロ金利としたことで円高が進行、CME日経平均先物は17,000円割れとなり、週明けの3月16日は寄り付き前に落胆のムードになりました。

先週末3月13日のNYダウ平均が2,000ドル近く反発していたことで、日本株も大幅反発を見込んでいた市場参加者は多かったことでしょう。私もその1人でした。

しかし、日経平均は場が始まるとTOPIXの強さに支えられ、プラスになる場面も。日銀政策決定会合も週明けに前倒しで実施されることになり、その結果次第では上昇するシナリオを描いていたのでしょう。しかし、結果的には最悪となりました。

日銀は金融緩和策の強化を決定したが

日銀はETF(上場投資信託)の保有残高を年間6兆円から12兆円、J-REITを年間900億円から1,800億円に引き上げるなどの金融緩和策の強化を決定しました。

発表直後の株価は、下げ→上げ→下げといった具合に、どう反応すればよいのか、わからない状況。しかし、時間がたつにつれ、買い戻し一巡後は下値を拾う動きも一巡し、買い物が薄い中、引けにかけては売り叩かれた印象でした。完全に見透かされた反応で終わったといえましょう。

金融緩和策の発表リリースをみると、「ETFおよびJ-REITの原則的な買入れ方針としては、引き続き、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行い、その際、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする」と注釈に書かれていました。

これが、今のスタンスと大きく変わらないと捉えられ、売り直されたというコメントも聞かれました。ただ、やっぱり大きかったのは、FOMCの緊急大幅利下げでも時間外のNYダウ先物が大幅安となり、しかもサーキットブレーカーが発動され動いてなかったことでしょう。

そのことが、NYダウの1,000ドル安や2,000ドル安を連想させたためだと思います。だとしたら、金融緩和策が発表されたあとの日本株の下げはノイズ(意味のない動き)に過ぎず、あとあと効いてくる可能性大です。

相場は意外と何もないときに下げ止まったりするもの

「相場は相場に聞け」という相場格言があります。時に、相場は不思議なことがあるもので、意外と何もないときに下げ止まったりするものです。

東証1部の騰落レシオは40.1%まで低下(16日)、200日移動平均線からの下方かい離率は23%(16日)と、2018年12月25日の14.0%よりもはるかに売られ過ぎの水準です。3月SQ直後に安値を形成する「クセ」があるという点も、この乱高下の中でも忘れてはいけません。

今週の荒れ相場でも水準を大きく切り下げることがなければ、主力大型株の売られ過ぎはすぐに良い方向に修正されるとみています。

実際、3月16日の米国市場ではNYダウは3,000ドル近い下げとなりました。しかし、3月17日の日本株は同じようには下げません。「買い戻しが終わればまた下げる」「上げる理由がよくわからない」と首をかしげる市場参加者もいましたが、こういうムードの時がむしろポイントです。

みんなが同時に強気に転じる場面では底打ちはしない。みんなが自信を持てる(簡単に買える)、底打ちのタイミングなどあるはずがないのですから(3月17日前場に執筆)。