今週の日本株は底値に到達した感が広がるかがポイントだ。日経平均は2万700~800円がPBR1倍の水準にあたる。いくらコロナウイルスの感染が脅威であっても、ここまで暴力的な下げを経て、日本を代表する優良企業のパッケージである日経平均がPBR1倍を割るというのは行き過ぎである。過去、何度もPBR1倍は日本株の下限として意識されてきた水準である。今週はその水準を試しに行って、そこで下げ渋るか確認したい。
まずは週明け、先週土曜日に発表された中国のPMIに市場がどのような反応を見せるかだ。2月の製造業の購買担当者景気指数(PMI)は前月より14.3ポイント低い35.7だった。リーマン・ショック直後の08年11月(38.8)を下回り、過去最低を記録した。非製造業のPMIも24.5ポイント低い29.6と過去最低だった。事前の予想を大幅に下回る悪い数字だが、悪い数字が出るのは当たり前であり、サプライズでもない。過去の異常値だとして冷静に反応できれば相場も快方に向かう兆しとなる。
もうひとつ下げ止まる材料はNY株の動き。先週金曜日はダウ平均は7日続落となり下げ幅は一時また1000ドルを超えたが、終値は357ドル安まで下げ幅を縮小して終えた。FRBのパウエル議長が「経済を支えるために適切に行動する」と声明を出し、利下げ期待が相場の支えになった。ナスダックは小幅に反発した。ダウ平均のチャートを見ると、ずっと大きな陰線が続いていたが、先週金曜日は下げたには下げたがローソク足は下ひげを引いた陽線だ。ダウ平均2万5000ドルを前にこちらも底入れのシグナルが点っている。
今週は月初にあたり米国の重要経済指標の発表が続く。2日にISM製造業景気指数、4日にADP雇用レポートとISM非製造業景気指数、6日に雇用統計だ。ISM製造業は前回大きく改善し50を回復したが、今回は小幅に低下するも50は維持するとの予想だ。エンパイア、フィリー、シカゴと景況感は改善が続いておりISMもしっかりだろう。しかし、これもコロナ感染がこれほどの広がり見せる前のアンケートだからあまり材料視されないだろう。
米大統領選の民主党候補指名争いの第4戦、サウスカロライナ州予備選で中道派バイデン候補が大差で勝った。序盤戦で惨敗が続いたバイデン氏は、今後の戦いに望みをつないだ。今週はいよいよ3月3日に指名争いのヤマ場、スーパーチューズデー。その前哨戦として注目されたサウスカロライナで巻き返せたのは大きい。これでまた混沌としてきたが、スーパーチューズデーの結果に市場がどう反応するかも見逃せないポイントだ。
今週の予想レンジは2万700円~2万1600円とする。