SARS やMERSと比較すべきでない

米疾病対策センター(CDC)が25日、新型コロナウイルス感染が米国にも拡大すると警告した。ダウ工業株30種平均は3.2%安、S&P500指数は3%下落した。

CDCのナンシー・メソニエ博士は記者団に対し、米国民は新型ウイルス感染拡大がもたらす大きな混乱に備えるべきだとの見解まで示した。この時点で、新型コロナウイルスを比較すべきなのは、実際には米国には影響がなかった重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)、鳥インフルエンザではなく、別の災害であることが明確になりつつある。

ネッド・デービス・リサーチのチーフ・グローバル・マクロ・ストラテジスト、ジョセフ・カリシュ氏によると、最も類似しているのは、(2001年)9月11日の米同時テロや2011年の(東日本大震災の)津波かもしれないという。これまでの健康不安は「比較的抑制されていた」一方で、同時テロや津波の時には、経済活動が鈍化し、サプライチェーンが混乱、さらに、人々が外出を控えた。

しかし、タイミングがすべてだ。同時テロは弱気相場を長引かせた。日本の津波は金融危機後の回復局面入り2年で発生した。カリシュ氏は(新型ウイルスがもたらす)最終的な結果は、これら二つの間になるとした。

急落時のパニック良くない

インスティネットのフランク・カッペレリ氏はS&P500指数の下げが突然起きたため、ベアパターンを特定することがほぼ不可能だとしながらも、チャート上にかすかなベアのペナントを見つけたという。「そのパターンでは、下方向のターゲットは3080」「3225まで反発すれば、それ(ターゲット)は無効になる。ご期待を」と書いた。

それでは売り時なのだろうか。恐らく違う。ビスポーク・インベストメント・グループは「大きな下げの後に売るのなら、以前に株が売り込まれている時に売ったことを顧みた方がいい」「一時的には、正しい行動だったかもしれない。しかし、(その後)十中八九、下値の時に買い戻さず、回復の初期の段階を逃している。史上最高値を付けてから1週間足らずであることを考慮すると、長期的には、急落している時にパニックに陥るのは決して良い動きではない」と述べた。

落ち着いて。そのまま。

 

原文    By Ben Levisohn
(Source: Dow Jones)
翻訳    時事通信社

Published by Jiji Press in association with Barron's Group

 

当記事は、バロンズ・ダイジェストで2020/02/26に公開された記事を1営業日遅れで掲載しています。