2019年に「老後資金2,000万円不足問題」が話題となりましたが、老後の資産形成について20-30代の若年層にも関心が少しずつ高まっています。その資産形成に活用できる少額から投資を行う人のための非課税制度がNISA(少額投資非課税制度)です。

マネックス証券では2月13日のNISAの日を控え、全国のマネックス証券口座開設者を対象に、投資に関する意識調査を実施しました。

20代-30代の若年層も約6割が4年以上NISAを活用

年代別に少し差があるものの、NISA利用年数は「4年以上」が最も多いことがわかりました。税制の優位性に敏感な、ベテラン投資家世代を含む60代以上は7割超が利用年数4年以上。投資経験が浅いと思われる20-30代についても約6割が4年以上NISAを利用していることがわかりました。(図1)

図1:NISA開始時の年代とNISA利用年数
出所:マネックス証券作成

一般NISA・つみたてNISAともに利用者の年収によって利用者の割合に大きな差はなく、投資への裾野が拡大しているようです。投資は年収が高い人が行なうというイメージを払拭する結果になりました。NISAは税制面での優遇を受けられることから手の届きやすい制度であることがわかります。(図2)

 

図2: 一般NISA、つみたてNISA利用者の年収について
出所:マネックス証券作成

 

一般NISAでの取引商品の分布状況

一般NISAで購入している商品についてたずねたところ、一番多いのが国内株式で、次いで投資信託、米国株式という結果となりました。
 

図3:一般NISAでの取引商品の分布状況
出所:マネックス証券作成

一般NISA個人投資家の人気銘柄ランキング

日本株ランキング(※1):

以下の通り、時価総額の高い企業、配当が高い企業、株主優待のある企業が個人投資家に人気があるようです。

図4:マネックス証券一般NISAでの日本株取引ユーザー数上位ランキング
出所:マネックス証券作成 ※騰落率(※2):2019年の1年間の騰落率で算出

米国株ランキング(※1):

日本株同様に米国での時価総額の高い企業が人気で、日本でも知名度の高い企業の銘柄が多く購入されていますが、日本株と比べパフォーマンスがよかったことがわかりました。

図5:マネックス証券一般NISAでの米国株取引ユーザー数上位ランキング
出所:マネックス証券作成 ※騰落率(※2):2019年の1年間の騰落率で算出

投資信託ランキング(※1):

年間を通してマネックス証券のオススメランキングの上位にきていた投資信託の取引ユーザー数が多く、またパフォーマンスが高い傾向があることがわかります。
日本株式だけなく、海外株式に投資をする投資信託やバランス型の投資信託を選定している投資信託も上位にランキングされており分散投資を行っている方が多いと考えられます。 

図6:マネックス証券一般NISAでの投資信託取引ユーザー数上位ランキング
出所:マネックス証券作成 ※騰落率(※2):2019年の1年間の騰落率で算出

つみたてNISAでの投資金額、すべての年代で30,001円以上/月が最多

すべての年代で月額30,001円以上が最多となっており年間40万円の非課税投資枠をフル活用している方が多いようです。(図7)

図7:年代別 つみたてNISAでの投資金額
出所:マネックス証券作成

つみたてNISAでも一般NISAと同様の傾向が見られます。楽天全世界株式インデックス、eMAXISSlim国内株式、ニッセイTOPIXインデックスはつみたてNISAのみランクインをしていますが、こちらも総じてパフォーマンスが高い結果となりました。

図8:マネックス証券つみたてNISAでの投資信託取引ユーザー数上位ランキング
出所:マネックス証券作成 ※騰落率(※2):2019年の1年間の騰落率で算出

個人投資家のNISA制度への改善要望について

現状のNISA制度に満足しているかどうかをたずねたところ、「満足している」という回答は約4割にとどまりました。改善要望の上位は、「非課税投資期間の延長」、「非課税投資枠の拡大」、「課税口座との損益通算できるようにしてほしい」という点でした。

図9:個人投資家のNISA制度への改善要望
出所:マネックス証券作成

2024年から刷新予定の新NISA制度について

2014年1月に制度が開始して以来2024年には、初の大規模改正が行われることになりました。新NISA制度については「2024年にNISA大改正、個人投資家はここに注目」で解説しています。今回のアンケートにおいては「「新NISA」制度は知っているが詳しくはわからない」という回答が最多で、次いで「「新NISA」制度の発表を知らない」となりました。(図10)

制度をわかりやすくすること、また個人の投資家の方向けへの情報発信等を継続的におこなうことが必要であると考えられます。

図10:2024年から刷新される予定の新NISA制度について
出所:マネックス証券作成

 

 

本アンケート調査の結果を受けて、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんよりコメントをいただきました。

今回の調査対象が証券口座開設者に限定されているとはいえ、年代や年収に関わらず多くの方がNISA口座を利用しているという結果は本当に素晴らしいことではないでしょうか。また取引商品も好配当が期待できる銘柄や、世界的に成長が期待できる銘柄を選択している方が多いというのも、NISAの税制メリットをしっかり理解し、上手に活かしたいと考えている様子がうかがえます。つみたてNISAについては、より長期間の運用を視野に、世界経済に目を向けている様子から、こちらも制度の特徴をよく理解されていると思いました。

新NISAについては、非課税期間の延長への期待はむしろ「恒久化」というところで、NISAの存在感が高まっている証拠ですし、真っ当なご意見だと感じました。新NISAは、これまでより複雑です。また現状においても一般NISAなのかつみたてNISAなのかといった悩みもつきまといます。制度の分かりやすさや、使いやすさは今後の課題だといえるでしょう。

少額でのつみたてとなると、日本株投信1本というように投資先が単一マーケットに集中するのではなく、やはり長期投資ですから、地球の経済成長の恩恵をフルに取り込めるような分散投資を心掛けたいものです。もちろん個人型確定拠出年金(iDeCo)節税メリットも併せて享受・フル活用し、資産運用を豊かな人生のための生活習慣としていただきたいと思います。

山中 伸枝(心とお財布を幸せにする専門家 ファイナンシャルプランナー(CFP®)、FP相談ねっと 代表、一般社団法人公的保険アドバイザー協会 理事) 

■調査概要と回答者の属性

調査方式:インターネット調査
調査対象:マネックス証券口座保有者
回答数: 5,624 (NISA口座保有 4,703名)
調査期間:2020 年1 月24 日(金)~1 月29 日(水)

 

(※1)ランキングは、マネックス証券のNISA口座で取引された人気銘柄トップ10と、それぞれの銘柄の2019年の成績を調査しました。
(※2)騰落率:2019年最初の取引日終値と2019年最後の取引日の終値で比較
(日本株、投資信託は2019年1月4日と12月30日、米国株は2019年1月2日と12月31日)