一般NISAに代わって2階建ての新NISAが登場

2019年は「年金だけでは老後資金が2,000万円足りない問題」などで資産形成への意識が急速に高まったこともあり、証券会社のつみたてNISAは同年9月末時点で前年同期比190%の85万口座に拡大しました。NISA全体では782万口座に達しています。

そのNISAが2014年1月にスタートして以来、初の大規模改正が行われることになり、個人投資家の間でも「NISAは継続されるのか」「非課税の拠出枠はどうなるの」とばかり関心を集めていましたが、昨年12月に発表された令和初の税制改正大綱でようやく、その概要が明らかになりました。

利用者数が伸び悩んだ「ジュニアNISA」が当初予定通り2023年で終了になるほか、次のような改正案が盛り込まれています。

「つみたてNISA」は現行2037年までの新規拠出の期限が5年間延長になり、2042年までとされました。

「一般NISA」の方も期限が2028年まで延びましたが、これに加えて「新しい制度を立ち上げ、2024年以降は新制度に全面移行する」となっています。

新しいNISAは2階建て構造に変わり、期限は現行の一般NISAと同じ5年です。

1階部分は積み立て投資で、配当や譲渡益が非課税となる拠出枠は年20万円。対象は現行のつみたてNISAのような低リスクの株式投資信託に限定されそうです。

2階部分は拠出枠が102万円で、従来の一般NISAを踏襲する形。ただし、個別株式の整理・管理銘柄やレバレッジ型の株式投信は除外の方針です。

後者のレバレッジ型投信については今後、法令などで具体的な商品名が指定されることになりますが、昨今のトレンドで人気商品も多い分野だけに、その行方が気になるところでしょう。

新NISAの2階部分は、基本的に1階部分で積み立てをしていないと使えません。といっても、1階部分の拠出枠20万円を全て使い切る必要はなく、数千円でも積み立てておけば(金額は取り扱い金融機関によって異なる)、2階部分の利用が可能になります。

また、既にNISA口座を開設している人や個別株の取引経験がある人は、2階部分だけを使って個別株の取引をすることもできます(それ以外の株式投信やETF、REITなどの取引は1階部分との併用が前提)。

新NISAからつみたてNISAへの移管はお得

全体として見れば、NISA制度から個人投資家の投機的な取引を排除し、「長期の資産形成を促す」姿勢をより鮮明にした印象です。改正案が公表される前は「つみたてNISAに一本化されるのではないか」という憶測が流れたことから一般NISA利用者の間では警戒感も強く、こうした懸念に配慮した、緩やかな着地となりました。

とはいえ、新NISAの拠出枠は1階部分と2階部分の両方を上限いっぱい利用すれば122万円になりますが、一般NISA部分のみの比較だと現行の120万円から102万円に縮小しているなど、注意を要する点もあります。

新NISAで注目されるのがロールオーバーの部分です。

新NISAも現行の一般NISAと同様、つみたてNISAといずれか一方を選ぶことになりますが、新NISAの1階部分は非課税期間(5年)が終了した後にそのまま、つみたてNISAにロールオーバーすることが可能です。

この場合、非課税期間は2つのNISAを合わせて最長25年まで延長でき、つみたてNISAに移管する際には簿価評価が適用されます

1階部分の拠出枠を全て使い切ったとしても簿価は20万円となり、移管先のつみたてNISAでは、拠出枠40万円の残り20万円までは別途積み立てができるというわけです。

ちなみに現行の一般NISAを新NISAにロールオーバーすることも可能ですが、こちらは時価での移管になります。

NISAの改正案は開催中の通常国会で審議される予定です。今後の動向を注視するとともに、改正点を踏まえ、新NISA導入までの4年間でNISAを使った投資プランを練り直しておく必要がありそうです。