米ドル/円 日足

週間予想レンジ:109.00~110.50

メインストラテジー:押し目買い

・中国新型コロナウイルスの広がりがあっても底固い
・市場は最悪な状態を想定、織り込んでいたとみる
・110円関門の一旦打診は基調の改善を示す

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は大幅切り返し、108円前半の支持を確認した形で一旦110円関門のトライにつながった。前回でも強調したように、新型肺炎の件でリスクオフの傾向は強まった。状況が一段と悪化した1月31日の値動きが大きかったが、想定範囲に留まり、そもそも行き過ぎた円高とも言えなかった。米株の高値更新につられ、リスクオフの動きは続かず、先週の切り返しはブル基調の維持を示唆している。

繰り返してきたように、米ドル/円のリスクオン/オフはあくまで市場センチメント次第なので、結局株次第、特に米株次第の側面が大きい。1月30日の値幅拡大は米株の反落幅と同調したものの、反落自体が健全なスピード調整だったので、その後米株の高値更新は自然の成り行き、米ドル/円の切り返しも当然な結果と言える。

新型肺炎の広がりがあっても米株の高値更新が見られたように、市場は常に現実より先行してきた。また最悪な事態を織り込んで値段を形成してきたため、新型肺炎リスク要素の大半を織り込み済とみる。これから新型肺炎リスク要素の再浮上があっても基本的に許容範囲に留まり、メイン基調の修正にならないと思う。

従って、メインシナリオを維持、1月8日安値107.64円を更新しない限り、米ドル/円の構造に変化はない。新型肺炎に関する最悪な想定があっても、底割れを回避できる公算だ。先週一旦110円関門の打診もあって、これから1月高値の更新を果たす場合は、昨年8月安値104.45円を起点とした上昇波の進行を一段と証左する。今年1月8日大陽線が点灯したサインの効き目も一段と確認されるだろう。

ファンダメンタルズ上の材料、市場内部構造を修正できないという前提において、ブル基調を継続する公算。米ドル/円は昨年8月安値から上昇波に復帰しており、これからドル高・円安の余地を大きく拓く。

目先の危機による変動があっても途中のスピード調整を果たす場合、ブル基調を検証する最高の材料と化す。検証するテクニカル上のポイントが維持される限り、また先週の値動きに証明された以上、米ドル/円の上昇トレンドは強化される。

1月第1週の大陽線、強気リバーサルのサインを点灯、また昨年10月末安値に対する一時の下値更新が「ダマシ」であったことが証左され、事実上「フォールス・ブレイクアウト」のサインを果たした。その後昨年年末高値に対する高値更新自体は当然の成り行きであった。前記のように、目先は途中のスピード調整とみる場合、年初来安値の更新なしではブル基調は維持される。

目先の支持ゾーン、109円関門前後へ上方シフトされるだろう。再打診があっても下放れを回避できれば、再度110円台前半をトライできる公算。一方、新型肺炎自体の広がりがなお続き、今週続伸があっても上値重い状況も想定され、値幅限定の公算。上昇モメンタムの本格的な強まり、リスク要素の一段落を待たなければならないだろう。

先週の安値108.33円を割り込めない限り、保ち合いの継続が長ければ長いほどその後の上昇モメンタムに寄与するとみる。保ち合いの先行や値幅限定があれば、出遅れたロング筋にとって、引き続き参入の好機と言える。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:73.00~74.50

メインストラテジー:押し目買い

・円高より外貨安、豪ドルの下落につられ、反落幅を拡大が見られた
・一旦72円関門割れを覚悟していたが、先週底割れ回避したとみる
・72円半ばのメインサポートゾーン、再度維持できればブル基調を維持

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は切り返し、週足では「スパイクハイ」のサインを点灯したものの、先々週の値幅の中に留まった。また先々週安値の更新を回避したところ、調整波の一段拡大を阻止したとみる。中段保ち合いの継続がなお有力視されるが、レンジの下限を確認できた、という意味合いでは、先週の切り返しは大きかったと思う。

もっとも、先々週の大幅続落、反落幅の一段拡大を示唆した。米ドル/円と同様、新型肺炎の件でリスクオフに傾き、途中のスピード調整を深めた。さらに、中国の影響を強く受ける豪ドル/米ドルの下落が目立ち、円高より豪ドル安の側面も大きかったから、先週まで豪ドル/米ドルの下落が目立ち、豪ドル安に主導される状況は変わっていない。

とはいえ、米ドル/円次第というか、米ドル/円と同様、基本的な考えやメインシナリオは変わらない。市場の内部構造が変わらない限り、円高シナリオにチェンジする必要もなかったことも先週にて強調した通り、先週の切り返しを最初のサインとみる。

一方、年初来安値の更新が確認されており、また目先を含め、更新後の切り返しがあっても一旦74円台前半に留まり、調整波の大型化をなお想定しておきたい。なにしろ、既述のように、1月第1週の足型は典型的な「スパイクロー」のサインを点灯した。また昨年12月安値に対する一時の安値更新自体が典型的な「ダマシ」だったから、年初来安値更新自体が大きなサインを灯した。それがたちまち高値追いとなる環境ではなかろう。

しかし、一時72円関門割れも覚悟していたものの、先週の切り返しをもって基調の改善が図られたのも事実。これから安値更新なしでは調整波の下値が確認された可能性も高まる。当面レンジ変動を想定しなければならないが、そのレンジの下限を確認されたという意味合いにおいて、今週基調の改善が引き続き見られるだろう。

より長いスパンでは、既述のように、昨年11月第2週から12月第1週まで、大きな「インサイド」のサインを形成していた故に、その後の高値更新自体が上放れを決定させた。また上放れが確認された以上、ブル基調は維持される。繰り返し強調してきたように、年初来の安値更新があっても、一時に留まり、本格的なベアトレンドへの転換はないとみる。

昨年8月26日のサインが果たした「リバーサル・デー」の役割が大きく、同9月高値のブレイクをもって最終認定が図られたことが繰り返し指摘した通り。故に、ブルトレンドは76円台後半の打診があっても通過点に過ぎず、上値余地の拓きはこれからといったメインシナリオは維持される。目先の危機で想定より反落波の調整幅が深かったが、中長期スパンにおける押し目買いの好機、と言う判断は不変となる。