メキシコペソ/円と南アフリカランド/円

新型肺炎への懸念などからリスクオフの動きが広がる中、基本的にリスク資産と位置付けられる高金利通貨も反落している。米国の株価指数が軒並み最高値を更新するなど、リスクオンの中で上昇してきた代表的な高金利通貨であるメキシコペソや南アフリカランドは、円に対して年末年始の高値からそれぞれ最大で3~5%の反落となった。では、高金利通貨の反落リスクは、どんなふうに考えたら良いだろうか。

高金利通貨の反落が、あくまで一時的なものなら、経験的には52週MA(移動平均線)を大きく、長く下回らない程度にとどまる可能性が高い。ちなみに、メキシコペソ/円と南アフリカランド/円の52週MAは、それぞれ5.67円、7.52円(図表1・2参照)。米ドル/円の経験を参考にすると、一時的な動きは、この52週MAを5%以上といった具合に「大きく」、1ヶ月以上といった具合に「長く」下回らない可能性が高い

以上から、あくまでリスクオンのトレンドにおける一時的なリスクオフに伴う高金利通貨反落に過ぎないなら、大まかな目安として、メキシコペソは5.6円を、南アフリカランドは7.5円を大きく、長く下回らない見通しになる。

逆にいえば、52週MAを5%以上下回る水準は、メキシコペソが5.4円程度、南アフリカランドが7.1円程度になるが、それを割り込むようなら、リスクオフは一時的ではなく継続的な可能性が高くなるので、一段の下落リスクへの警戒も必要になりそうだ。

では、最近のリスクオフはあくまで一時的か、それとも継続的なトレンドに向かうのか。経験的には、「世界一の経済大国」、米国の四半期成長率が2%以上といった景気回復が続く中では、リスクオフは一時的にとどまる可能性が高い。まさに本日1月30日、昨年の米第4四半期成長率発表が予定されているが、その結果などが、リスクオフが一時的か継続的かの手掛かりになりそうだ。

【図表1】メキシコペソ/円と52週MA(2001年~)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
【図表2】南アフリカランド/円と52週MA(2000年~)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成