33年前、当時キング・オブ・ウォールストリートと称されていたソロモンブラーズに入社した私は、すぐにニューヨークで研修を受け、オプションなどのデリバティブの担当となることになり、日本ではちょうど解禁されたばかりで誰も教えられなかったので、私はそのままニューヨークに残り、様々なデリバティブの修行をすることになりました。英語もロクに出来なかった私が、デリバティブをやることになったのは数学が得意だったからですが、当時のソロモンのアービトラージ(裁定取引)デスクが常に世界初で考え出す商品や取引の仕組み、何故それが可能なのか、どうやって儲けるのかは、深い謎の中にあり、当時のニューヨークオフィスに居る人たちでも「あれは分からん」という人ばかりだった時代だったので、中々ハードルの高い対象でした。

一日中数学クイズを解いているような、いやひと月ずっと同じクイズを解いているような、そんな苦しみの中で、私にヒントを与えてくれて、デリバティブの世界へと私が深く入っていくのを導いてくれた人ーNNさんーと、今日、30年ぶりに会いました。彼女は息子さんを連れて30年ぶりに東京に来るというので、連絡をしてきてくれたのです。30年前の昔話を一杯しました。面白いことに、四半世紀口に出していない多くの人の名前がポンポン私の口から出て、様々なことを鮮明に思い出したのでした。当時のソロモンブラザーズは、一種飛び抜けた場所であり、エピソードも強烈なのです。

NNさんが居なければ、私はここまで資本市場の仕事に深く深く没頭しなかったかも知れません。ありがとうございます。NNさんは、色々な経緯があって、今はなんと、あのWeWorkで働いているとのこと。かの場所での驚きのインサイドストーリーも聞かせてもらいました。朋有り遠方より来る、また楽しからずや。NNさんから受けた恩は、息子さんに返せたらいいな、と思いました。See you again!