【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 27076.82 ▼142.70 (9/16)
NASDAQ: 8153.54 ▼23.17 (9/16)
1.概況
先週末の米国市場は小幅に高安まちまちとなりました。ダウ平均は中国が対米報復関税の対象から大豆など一部農産物を除外すると伝わったことなどで続伸となりましたが、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数はハイテク株に売りが出たことで反落となりました。32ドル高でスタートしたダウ平均は昼前に95ドル高まで買われるなど一日を通して堅調に推移すると結局37ドル高の27,219ドルで取引を終え8日続伸となりました。一方でS&P500株価指数が2ポイント安の3,007ポイントと4日ぶりに反落となったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も17ポイント安の8,176ポイントと3日ぶりの反落となりました。
昨日の米国市場はサウジアラビアの石油施設が無人機の攻撃を受けたことで地政学リスクが意識され下落しました。ダウ平均は73ドル安でスタートすると昼頃に186ドル安まで売られましたが、午後に入ってやや持ち直すと結局142ドル安の27,076ドルで取引を終え9日ぶりに反落となっています。また、S&P500株価指数も9ポイント安の2,997ポイントと続落となったほか、ナスダック総合株価指数も23ポイント安の8,153ポイント安となりこちらも続落となっています。
2.経済指標等
先週末に発表された8月の米小売売上高は前月比0.4%増となり市場予想を上回りました。9月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値も92.0と前月から上昇し市場予想を上回りました。7月の米企業在庫も前月比0.4%増となり市場予想を上回っています。一方で8月の米輸出物価指数は前月比0.6%低下し市場予想を下回りました。米輸入物価指数も前月比0.5%低下し市場予想を下回っています。また、昨日発表の9月の米ニューヨーク連銀製造業景況指数も2.0と前月から低下し市場予想も下回りました。
3.業種別動向
先週末の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち不動産や生活必需品、情報技術などの7業種が下げ、不動産は1%を超える下落となりました。一方で素材や金融などの4業種が上げ、素材は1%以上上昇しています。
昨日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち8業種が下げ素材と一般消費財・サービスが1%以上下落したほか、生活必需品も1%近く下げています。一方でエネルギーと不動産、公益事業の3業種が上げ、エネルギーが3%を超える上昇となったうえ、不動産も1%高となっています。
4.個別銘柄動向
先週末の米国市場でダウ平均構成銘柄はダウ(DOW)とユナイテッドヘルス・グループ(UNH)が2%以上上げました。また、JPモルガン・チェース(JPM)も2%近く上昇しています。一方で目標株価の引き下げを受けてアップル(AAPL)が2%近く下げダウ平均構成銘柄で下落率トップとなりました。ダウ平均構成銘柄以外では、半導体大手のブロードコム(AVGO)が決算とあわせて発表した通期の業績見通しが市場予想を下回ったことから3%以上下げています。
昨日の米国市場では配車サービス大手のウーバーテクノロジーズ(UBER)とリフト(LYFT)が投資判断の引き上げを受けて3%以上上げました。また、原油価格の急騰を受けてエネルギー開発株が高くシェブロン(CVX)が2%以上上げダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなったほか、エクソンモービル(XOM)も1%台半ばの上昇となっています。石油大手のコノコフィリップス(COP)は投資判断と目標株価の引き上げもあって9%余り上げています。一方で原油価格の急騰を受けてアメリカン航空(AAL)が7%以上下げたうえ、ユナイテッド航空(UAL)も3%近く下落しています。また、ゼネラル・モーターズ(GM)が12年ぶりのストライキを受けて4%以上下げています。
5.為替・金利等
先週末の長期金利は0.12%高い1.89%となりました。また、昨日の長期金利は0.05%低い1.84%となっています。ドル円は108円台前半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は昨日の米国株安を受けて軟調なスタートが予想されます。こうしたなか短期的な過熱感も意識されるなかで日経平均が下げ渋るかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)