今週の日本はお盆週間。Facebookにも、多くの友人が楽しい夏休み自慢の写真を次から次へと寄せており、微笑ましい限り。と言うことで今週の香港Moneyチャットは、アジアンリゾート!について。

香港は、北緯22度に位置しており、北緯21.3度にあるハワイのホノルル市よりやや北に位置している。沖縄県那覇市が北緯26度であるので、香港そのものが那覇市より南国と言えるのだが、さすがに香港はリゾートではない。しかし、香港からさらに南下すると素晴らしいリゾートが数多あるのはご存じの通り。

筆者も飛行機で数時間のプーケット島やバリ島、そして世界遺産ホイアン並びに隣町ダナンでリゾート気分を満喫させてもらっている。香港からアジアンリゾートまでは意外と近いのである。そして各地のリゾートに滞在すると、アジア経済の動きが見えてくるのもまた興味を惹かれる。そこでいくつかの気づきを以下簡単にご紹介したい。

プーケット:圧倒的に増えたインド人の姿

まずは、タイのプーケット島。タイ有数の人気ビーチがあることで知られ、“アンダマン海の真珠”と呼ばれる人気観光地である。筆者は香港から約3時間半のフライトで行ける気軽さもあり時々訪れるのだが、面倒なのでいつも同じホテルに滞在する。

この7月に滞在して気がついたのが「数年前に比べて圧倒的に増えたインド人の姿」である。ホテルスタッフによると、特にインド人超富裕層はホテルの一室を借りるのではなく、ワンフロア全部を借りて一族でやってくる。もちろん使用人も一緒である。そしてフロア毎に借りてファミリーでの休暇を楽しんで行くそうである。

確かに、プーケット島はベンガル湾を挟んでインドの対岸にあり、首都デリーから飛行機に乗り5時間弱で到着する「気軽?」に行ける本格リゾートなのかもしれない。筆者が訪れたときも、インド人カップルの大規模な結婚式が厳かにプールサイドで執り行われ、プール真ん中に取り付けられた玉座に座る新郎新婦の絢爛豪華な様子にど肝を抜かれた。インドの経済発展がタイのリゾートを潤しているのだ。

バリ島:政府がタクシードライバーにも英語教育を実施

次はインドネシアのバリ島。バリ島は「神々の島」とも呼ばれ、ここかしこにエキゾチックな雰囲気を醸し出す観光スポットがあるリゾートである。ヌサドゥア地区は大規模ビーチリゾート開発の中心であるが、ウブド地区は山間部の標高600メートルにあり、ヒンズー教の神秘的な雰囲気を感じさせてくれる。

この街で感心するのは、タクシードライバーが皆、流暢な英語を話すことである。アジア諸国では、シンガポールを除けば、英語を話すドライバーは相当数が限られている(まあ、日本もそうであるが…)。

しかしこのバリ島は観光立地を目指しており、州政府が積極的に英語教育を観光産業に携わる地元の人たちに実施しており、タクシードライバーもその例外ではないそうなのだ。異国に着いて言葉が通じるというのは本当に安心感が違う。

バリ島は1920年代のオランダ植民地時代以降、欧米人と共に作り上げてきたリゾート地なので、その辺のソフトインフラも重要視されてきたのであろう。

ホイアン/ダナン:手先の器用さと几帳面さが経済発展の一助に

そしてベトナムのホイアンと隣町ダナン。ホイアンは1999年に世界文化遺産へ登録された中国人街を中心に古い建築の残る観光地である。隣のダナンがビーチリゾートとして大規模開発され、近年はダナンの高級リゾートに泊り、ホイアンでのんびりと世界文化遺産の街を楽しむのが一般的な過ごし方になってきたようである。

ホイアンは16世紀ころ国際貿易港として繁栄し、中国人街に加えて日本人街もあったそうだ。16世紀に建築したと伝えられる「日本橋」も街の中心にあるから驚きだ。

そしてホイアンには、ペルシャ絨毯のように女性が何ヶ月もかかって作り上げる刺繍画がある。その工程を見ていると、ベトナム女性の手先の器用さにはほとほと感心する。刺繍画に加えて、オーダーメイドの革製品の店も多く並ぶ。

靴でもかばんでも、一晩のうちに顧客の思い通りのオーダーメイド製品を完成させる、緻密な作業をこなす手先の器用さと工期をしっかりと守る几帳面さ。なるほど、これなら日本メーカー企業が中国工場を閉めて、ベトナムに移転してくるわけが分かる。

国民1人当たりのGDPが中国に比べて3分の1程度だが「人財」が豊富なベトナム。経済発展が順調な理由の1つがホイアンの街を歩くと見えてくる。


アジアンリゾート。ビーチで昼寝しながら、地ビールでも飲んでいるだけで、実はひたひたとアジア経済の発展の足音が聞こえてくる感じがする。Asia Growthファンドは中長期的にはロングにすべきだな…と、リゾートに居ながらもなかなかのんびりできない筆者である。