元本確保型中心から見直しを図る

リスクを取りつつ取り過ぎない利回りを少しでもアップさせるためには何に気をつけるべきか。前回のコラム「老後の家計収支マイナス分を資産形成で補うには」から引き続き、このテーマを取り上げていきます。

それにしても、世界中の指導者がトランプ化していくようで恐ろしいです。強硬な排他主義の蔓延…。市場にとっても大きなリスクですね。

さて前回、せっかくiDeCoに加入していても元本確保型での運用に偏っている方が多いことに触れました。

けっして元本確保型がいけないわけではありません。十分に資産形成されている方であれば、無理にリスクを取ることはないのです。もしくはiDeCo以外で他に株式投資やFX投資など積極的にされていて、安全資産としてiDeCoの優遇税制も利用しているということであれば、もちろんそれも1つの方法です。

将来の資金に不安があり、資産を増やしたい、でも運用資産はiDeCoだけ、その上元本確保型がほとんど、という方は見直しを考えてみましょう。

元本割れするかもしれないと聞くと、投資初心者の方はちょっと怯んでしまいます。でも元本割れするかもしれないというリスクを取らなければ、相応にお金を増やすチャンスはありません。

リスクの組み合わせでマイナスへの振れ幅を制限する

リスクというのはマイナスに振れるだけではなく、プラスに振れることも含めた「変動幅」のことです。リスクには色々な種類がありますので、それらを組み合わせることで、リスクの低減化を目指すこともできます。プラスの振れ幅はある程度制限されるかもしれませんが、それと同時にマイナスへの振れ幅も制限するのです。

【主なリスクの種類】
・価格変動リスク
・金利変動リスク
・為替変動リスク
・信用リスク
・流動性リスク
・カントリー/ソブリンリスク
(国・国家に対する信用リスク)

分散投資で一極集中投資を避ける

投資を行う場合、各運用商品はこうしたリスクを複数有している場合がほとんどです。互いに異なるリスクを有する運用商品を組み合わせるのも1つの手法ですし、各運用商品の中には同じリスクに対し同一条件で異なる動きをするものもあるので、それらを組み合わせる方法もあります。

これらの組み合わせを行う投資方法が「分散投資」です。

【分散投資の方法】
・投資対象(資産)の分散
・投資地域の分散
・投資時期の分散
・投資金額の分散
(投資金額の小口化)

例えば、ある企業の株式が気に入ったからと、一度にまとめて全投資資金をつぎ込むような一極集中投資はリスクが高すぎるます。

例えば、投資地域を分散させ、日本株式だけでなく外国株式も検討したり、投資対象(資産)も分散させ、株式とは異なる値動きをする国内外の債券や不動産(REITなど)、金や原油といったコモディティ商品などにも投資するといった手法でリスクの低減化を図ることができます。

それぞれに投資するにはかなりの資金が必要…と感じられると思いますが、そうした投資を小口で行えるのが投資信託の良いところです。その小口投資を毎月行うことで投資時期も分散されることになります。

異なる種類の投資信託を組み合わせて分散投資することで、リスクの低減ができます。iDeCoなど税制優遇のある仕組みを利用すれば、より効果的な長期資産形成を行えるのですから、これらの制度も上手に活用したいですね。