「下値模索の展開」と「底打ちを探る展開」とではニュアンスが異なる。「下値模索の展開」は下値が見えず切り下げていくような相場つき。底打ちを探るは、端的に言って、近く底値をつけにいくだろう、という見込み。今週は底をつけると思う。
日経平均は6日、TOPIXは7日続落である。同じように6日続落していたドイツDAXも先週末は7日ぶりに反発した。日経平均は下値を切り上げており、米国の対中制裁関税の第一弾発動前日の7月5日には2万1500円の節目を取引時間中に割り込んだが、トルコショックの8月13日には2万2000円割れで止まった。今回も2万2500円割れで止まり、2万2000円の節目を下回らなければ、下値切り上げ型のトレンドが維持される。その意味で正念場である。
バリュエーション面でも7月5日のPERが12.91倍、トルコショックの8月13日が12.87倍であった。先週末は12.84倍である。PERの13倍台割れは底値の目途となる。同じPER13倍台割れでも株価水準が上なのは、日経平均の予想EPSが1740円弱と過去最高にまで高まっているからである。
先週末に発表された米国の雇用統計。NFPも賃金も強く、ドル円が再び111円台に戻っているのも日本株の支えになるだろう。
金曜日の東京市場では半導体関連が総崩れになったが過剰反応だ。米国のフィラデルフィア半導体株価指数はいまだ三角保ち合いで明確な方向感がない。半導体株の代表、エヌビディアも高値で少し下げただけである。
焦点は貿易摩擦に対する市場の耐久力。いい加減、織り込んだのではないか。トランプ米大統領は、中国からの輸入品2670億ドル相当に対して追加関税を賦課する用意があると表明した。既に表明済みの2000億ドル相当に追加して、ということだが、まだ2000億ドル分に対しても実効されていないのに、完全にブラフというか思い付きである。これに週明けの市場がどのような反応を示すか。また、今週に2000億ドル分に対して発動があればアク抜けするのではないか。
今週の予定で主なものは日本では10日に4-6月期GDP改定値、8月景気ウォッチャー調査、12日に7-9月期法人企業景気予測調査、13日に7月機械受注が発表され、14日はメジャーSQを迎える。海外では、10日に中国8月消費者物価・生産者物価、12日に米ベージュブック、13日に米8月消費者物価、ECB定例理事会(ドラギ総裁会見)、14日に中国8月鉱工業生産・小売売上高、米8月小売売上高など。
注目は12日のトルコ4-6月期GDP発表と13日のトルコ中銀金融政策決定会合だ。利上げで通貨防衛姿勢を示せばトルコリラ安に歯止めがかかり、市場の新興国不安が一歩後退するだろう。
また、12日はアップルの新製品発表会がある。アップル株が買いなおされる材料が出るかもしれない。アップルがリードする格好でナスダックの調整も短期で収束する可能性があり注目したい。
繰り返すが日経平均の下値切り上げトレンド維持は今週が正念場。ここを堪えることができれば、メジャーSQ通過で相場の潮目が変わるだろう。20日の自民党総裁選、月末の日米首脳会談など相場が切り返す材料は9月後半に並んでいる。