米FRB議長発言や対メキシコ関税見送りが日経平均に与えた影響は?

みなさんこんにちは。株式会社インベストラストの福永です。今週も窓についての解説です。

不法移民の問題でメキシコの対応が不十分だとして、トランプ大統領がメキシコからの輸入品に対して関税をかけると発表したところから、窓をあけて株価の下落が始まるように見えました。しかし、そのあとFRB議長の発言によって下げ止まりから反発に転じたあと、今度は不法移民対策でメキシコと合意したとして関税導入を無期限で見送ると発表しています。

では、こうした出来事が日経平均株価にどのような影響を与えたのでしょうか。また、これまでに発生した窓はどうなったのか、さらに新しい窓が発生したのかなど、いつものようにチャートで確認したいと思います。

米中貿易摩擦による出来事はある程度織り込んだ可能性

最初に先週5日から今週11日までの値動きを確認しましょう。

【図表1】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※埋まった窓は青色で表示、埋まっていない窓は赤色で表示

先週のコラムで指摘した下げ止まりの目途としていた2月8日の水準で下げ止まっていたところ、6月5日に窓をあけて始まると同時に5日移動平均線上を回復する結果となりました。この時に窓をあけて上昇する要因となったのが、FRB議長が講演で「景気拡大を持続させるため適切に行動する」と発言したことでした。

また、この時に発生した窓は過去の値幅の範囲内であることからコモンギャップと考えられます。

その後も5日移動平均線上を維持するなか、今度は週末6月7日(現地時間)にトランプ大統領がメキシコからの輸入品に対して関税をかけるのを見送ると発表しました。

このことから、6月10日に2つ目の窓をあけて上昇すると同時に6月11日までの上昇によって先月28日と同29日のあいだにあけた窓を埋める結果となっているのです。

この窓があいた5月29日は、トランプ大統領の発言によって米中貿易摩擦の長期化が改めて意識される始まりとなった日です。この水準まで株価が戻していることを考えますと、貿易問題についてこれまで起こった出来事はある程度織り込んだ可能性があります。

株価の方向がはっきりしていないことを示す

新たに悪いニュースが出てこなければ6月4日の安値を下限とする一定レンジ内のもみ合いが続くことが考えられるのではないかと思われます。

その場合、5日や25日移動平均線を維持して推移することが見込まれる反面、それらを維持できずに割り込んでしまうようですと、新たに発生した窓を埋めることが考えられるため注意が必要となります。

いずれにしても、株価の下落時に発生した窓を反発時に埋めたり、反発時に発生した窓を下落で埋めたりといった値動きが続いているときは、株価の方向がはっきりしていないことを示していることになります。

そのため、途中でポジションを持つことは控える必要があると同時に、ポジションを持った場合は利益確定やロスカットを優先することが重要になると思われます。発生した窓の位置と現在の株価のトレンドやその転換のタイミングをしっかり確認しながら売買するようにしたいところです。