香港のロータリークラブ幹事の活躍ぶり
筆者は、ある方に勧められて灣仔(ワンチャイ)ロータリークラブのメンバーになり、3年が経過した。毎年開催される年次総会募金パーティの規模に感心し、メンバーの熱意にさらに驚かされる。
33人しかメンバーはいないのだが、中心となっているのはいつも10人前後。その10人が大車輪の様にボランティアとして働いて、募金活動に正に八面六臂の活動を広げる。募金パーティの参加者は合計で308人。参加費用が日本円で1人3万円程度するのだが、それでもその人数が集まるのは驚きだ。そして協賛会社が100社程度に及ぶのだ。
第29回大会は今年5月11日に開催され、日本からも京都中ロータリークラブの皆さん10数名が来港した。日本のロータリークラブとの大きな違いは、33人しかいないメンバーがなんと16ヶ国から集まり国際色が豊かなこと、さらには30代の若いメンバーも多いことだ。実際来年度会長候補は、30代カナダ人男性のSさんで、今回の総会募金パーティ幹事長も彼が務めた。
彼の活躍を見ていると、ボランティアの域をはるかに超えたと思う奉仕活躍ぶりであった。それを幹事団メンバー全員(幹事団といっても33人中半分が幹事)で支えあい、幹事団のWhatsAppのメーリングリストには1人1人から「○○社からの寄付をいただいた!」という知らせが四六時中送られて来るのだ。
募金から中学生がイギリスに夏季留学
5月のイベントで集めた総額は具体的な金額を記すことができないが、中型車を1台購入できるのではないかと思われる程に集まったとの報告が流れていた。金額もさることながら、短期間で少ないメンバーが忙しい合間を縫って時間を割いてその募金活動とパーティ準備に勤しんだことが凄いと感じた。
そしてその募金の一部を使って今年も、海外留学に縁遠い地域に通う5人の中学生がイギリスケンブリッジの夏季研修に参加する。イギリスに行く前は、学生さんは皆恥ずかしがり屋で、小声で自己紹介する子も多いのだが、研修を終えると一回り逞しくなって香港に帰国するのである。
今年の募金パーティの司会を務めたのもなんとその研修生であった学生さんだった。300人を超える老若男女の前で堂々と司会する姿を見ていて、頼もしくもあり、ロータリーの奉仕活動の意義が実感できる瞬間だった。
日本の働き盛り世代が社会活動に時間を割くのも良い
香港は、District 3450という地区に属するが、3450地区は香港・マカオ・モンゴルの3地域を統括しており、その地区には97のクラブが所属し、2,500人以上のロータリアンがいる。日本は寄付文化が育たないとよく言われるが、日本のロータリークラブも2,000以上あり、9万人位のメンバーを擁する大組織のようだ。
私の知る限りでは、日本のロータリークラブは功成り名遂げたご高齢の方が多いとお聞きするが、ぜひ働き盛りの若い方も参加されたらどうかと思う。働き方改革で、少し自分自身で使える時間が増えたと思うので、その分をこのような社会活動に時間を割くのも良いかもしれない。
上野千鶴子先生が今年の東大入学式で述べられた「恵まれた環境と恵まれた能力を恵まれない人々を助ける為に使ってください」という言葉が印象的であった。寄付と言うと、「お金の寄付」がすぐに頭に浮かぶが「時間の寄付」もあるのだなと改めて今回のメンバーの活躍ぶりを見て勉強させてもらった。金融用語でいうと、「時間価値=Time Value」の寄贈である。