英ポンド/円 (140.80~150.00) 4月4日~4月10日まで

アナリシス:

皆さん、こんにちは! 先週に引き続き、英国の欧州連合(EU)離脱問題は結論が出ない状況が続いていますが、要人発言や、会合の内容などからポジティブな反応となり、先週の3度目の議会採決以降、上昇しています。

メイ首相は4月3日、EU離脱を巡る法案成立の可決に向けて、最大野党の労働党のコービン党首との協議を開始しました。将来的な対EU関係で同党と合意に達することにより、下院で離脱協定を可決させたい意向です。労働党はかねてよりEUと関税同盟を結ぶことなどを求めており、メイ首相がどこまで譲歩するかが焦点となっています。

英下院では離脱協定が3度にわたり否決され、これに代わるさまざまな選択肢もすべて過半数の支持を得られずにいるのが実情です。英国は4月12日までにEUに新方針を示してさらなる離脱延期を要請しない限り、この日に合意のないまま離脱することになります。

メイ首相は2日、このような事態を避けるため、野党の協力を得て下院で可決の見込める新方針を探るとともに、EUにさらなる離脱の延期を要請する方針を打ち出しています。

これに対しコービン党首はこの日、「首相が下院の意見を受け入れ、歩み寄りの姿勢を示したことを歓迎する」とコメント。これにより、一気にポンド高となりました。

労働党はかねて独自のブレグジット方針として、EUと恒久的な関税同盟を結ぶことやEU市場へのアクセス確保、消費者や労働者、環境の保護でEUと足並みをそろえることを求めています。

同党首は会談後、メイ首相の立場に「想定した以上の変化はなかった」とコメント。「有意義だったが、結論には到達しなかった」とし、協議は継続するとしました。保守党と労働党は共に交渉チームを結成しており、4月4日には全日にわたる協議の場が持たれる予定です。この協議内容によっては日本時間の4月4~5日深夜に大きくレートが動く可能性があり、注意が必要です。

また、メイ首相が同党に譲歩する姿勢を示したことを受け、与党・保守党内では合意なき離脱を求めていたEU離脱強硬派を中心に不満が高まっています。この日朝にはナイジェル・アダムズ・ウェールズ担当閣外相が、首相の方針転換に抗議して辞任。ジョンソン前外相も「メイ首相はブレグジットの仕上げを労働党に託した」と強く批判しています。

来週の予定として、メイ首相は4月10日の臨時EU首脳会議(サミット)で離脱延期を要請する方針です。ただ、5月23~26日に行われる欧州議会選挙に英国が参加することを避けるため、短期の延期にとどめる模様。これに対し、欧州委員会のユンケル委員長はこの日、「4月12日までに英下院が離脱方針を可決すれば5月22日までの離脱延期を認める」とした上で、「4月12日までに同協定が可決されなければ、短期の延期は不可能」との考えを示しています。

これらのことから、メイ首相は今週中にも離脱協定案が下院で可決されることを望んでいるのは確かでしょう。

一方、英下院ではこの日、合意なき離脱を回避するための法案が審議されました。これは労働党のイベット・クーパー議員から2日に提出されたもので、メイ首相に対し直ちにEUに離脱延期を申し出るよう求める内容です。下院の第2読会は賛成315票、反対310票と5票差で通過。下院で可決されれば、4日に上院に法案を送る方針です。

それでは、月足チャートです。

【図表1】英ポンド/円(月足)
出所:筆者作成

月足トレンドレス中段。3月とほぼ変わらず、このまま+2σ方向まで上昇するかどうかの場面です。

月足ベースでの下げ余地は−2σ付近までと見ます。

続いて、週足チャートです。

【図表2】英ポンド/円(週足)
出所:筆者作成

トレンドレス中段から上段に移行中。第1レジスタンスは148.35円付近となり、第2レジスタンスは149.50円付近となります。

最後に、日足チャートです。

【図表3】英ポンド/円(日足)
出所:筆者作成

トレンドレス中段。ここからの見方は大きく2パターンになります。

まず、労働党との協議が進み、コービン党首の支持をメイ首相が取り付けた場合、離脱延長が確実視されるために、一気に上昇すると想定する場合、148.35円を上にブレイクし、日足でアップトレンドが発生する可能性が高いとみます。

一方で、労働党との協議が上手くいかなかった場合は、4月12日までに離脱協定案を可決することがEU側の条件であり、これを満たせない場合は、失望売りに繋がると想定します。

向こう1週間の重要指標です。

4月5日(金)
21:30 米・雇用統計

4月10日(水)
17:30 英・GDP
20:45 EUR・ECB政策金利
21:30 EUR・ドラギECB総裁定例記者会見、米・消費者物価指数

4月11日(木)
3:00 米・FOMC議事要旨

上記の分析からエントリーポイントとして、
予想レンジ:140.80~150.00               

メインストラテジー:

買いをするなら
・144.60円~144.80円の4時間足トレンドレス下段逆張りを根拠にエントリー
・147.15円を上にブレイクしたら短期足を使って押し目でエントリー
・146.30円~146.60円の1時間足トレンドレス下段を根拠にエントリー

売りをするなら
・147.05円~147.25円の1時間足トレンドレス上段逆張りを根拠にエントリー
・148.70円~149.00円の日足トレンドレス上段逆張りを根拠にエントリー
・149.50円~150.00円の週足トレンドレス上段逆張りを根拠にエントリー