先週、ドイツの紙パ会社が、英国王室に1000個の高級トイレットペーパーを寄贈しました。BREXIT(ブレグジット)に備え、「落ち着いて」とプリントされています。
EU離脱期限は2週間の先送りが確実となりましたが、英国では、混乱が各所にみられます。欧州大陸側の2.5倍は消費するという英国民のトイレットペーパー不足懸念がその例です。先週、輸入元が3.5百万ロールを備蓄していると発表しましたが、これは2日分強に過ぎません。そんな話から王室にトイレットペーパーを贈るというジョークが生まれたようです。
ユーロトンネルも、合意なき離脱の場合、1.6キロもの税関手続きの行列ができるかもしれないと発表しています。予想される業務量の増加に対して手当が不十分だとして、今月初旬からフランス側職員が抗議を始め、既に大きな遅延や運休が出ています。
こうした混乱を受け、民意も変わってきました。週末のロンドンではEU離脱に反対するデモが100万人を動員。英議会のサイトでは、EU残留を求める投票が今朝時点で529万人に達し、毎分4、500票ずつ増えています。それでも、民主主義である限り、一度投票で決まった結果を政府が勝手に反故にすることは原則不可能です。
「イエローハンマー(和名キアオジ)」。半年前にマスコミにリークされた、英政府の合意なきEU離脱時の緊急対策のコードネームです。その発動の可能性も出てきました。
市場目線でみれば、最終的には無難なシナリオに落ち着きそうに思います。英ポンドは国民投票前から3割下落し、既に最悪ケースを織り込んでいるとされますが、直前になって意外な混乱が出てきている中では、今が底値と考えられるかは不透明です。少なくとも、あと2週間は、情勢を見守りたいところです。