東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は263円高の2万666円と大幅に上昇しました。TOPIXやJPX日経400、東証2部指数や新興市場のマザーズ指数など主要指数は総じて上昇しました。昨日の米国市場でムニューシン財務長官が対中関税を引き下げる措置を検討していると報じられたことが好感され、ダウ平均などの主要指数は上昇しました。こうした中日経平均は70円高の2万472円と反発して寄り付きました。日経平均は寄り付き後も上げ幅を広げると前場を272円高で終えました。後場に入っても堅調に推移し一時は280円高近くまで上昇した日経平均は結局263円高と高値圏で取引を終えました。東証1部の売買代金は2兆1529億円となりました。東証33業種はパルプ・紙と精密機器を除く31業種が上げました。中でも不動産業や海運業、建設業、非鉄金属などが大きく上げています。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金上位銘柄はほとんどが上昇しました。昨日業績予想の下方修正を発表した日本電産(6594)は一時8%安近くまで下落しましたが、徐々に下げ幅を縮めると一時は0.4%安まで値を戻しました。終値では1.1%安となっています。キーエンス(6861)や村田製作所(6981)も下落しましたが、任天堂(7974)、ファーストリテイリング(9983)、ソフトバンクグループ(9984)、トヨタ自動車(7203)、武田薬品(4502)、ファナック(6954)は上昇しています。その他材料が出たところでは、大手オンラインゲーム会社のネクソン(3659)が7%超の大幅高となりました。中国のネットサービス大手のテンセントがネクソンの親会社の買収を検討していると報じられたことが材料視されました。また、リサーチ会社のマクロミル(3978)も8%近い大幅高となりました。大手証券が「買い」の投資判断でカバレッジを開始したことが好感されました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は米中の貿易交渉の進展期待から上昇しました。業績予想の下方修正を行った日本電産も安値からは大きく下げ幅を縮めるなど全体として堅調な1日でした。もちろん米中の貿易交渉が進展することはマーケットや実体経済にとって非常に望ましい変化です。しかし日本電産の永守重信会長は足元の中国の需要急減について「尋常でない変化が起きた」「これまでの経営経験で見たことのない落ち込みだった」とまで語っています。永守会長と言えば長く日本電産を成長させ続けてきた名経営者として知られています。筆者はその永守会長が経験したことのないレベルで中国の需要が後退していると警告していることに真剣に注目するべきだと考えます。今月末から本格化する日本企業の第3四半期決算発表では特に中国関連企業の業績悪化やそれに伴う株価の下落に警戒を払うべき局面ではないでしょうか。
(マネックス証券 マーケット・アナリスト 益嶋 裕)