ナスダック銀行株指数が高値更新に向かう展開が予想される

2018年は世界の株式市場の強気相場の中心であった米ハイテク株が大きく崩れました。それによって、米国の株式市場は2008年のリーマンショック直後の安値を起点に上昇が続いてきましたが、2018年の高値からの調整で大きな踊り場に入った可能性が高いと言えます。

ナスダックに上場する金融株以外の時価総額上位で構成されるナスダック100は、高値から18%程度下落しました。同等レベルで下げたのがナスダック銀行株指数です。

これまでの大相場をけん引してきたのは、言うまでもなくアップルを中心としたFAANG株やバイオテック株です。ナスダック100はITバブル時に形成した高値を上回り、倍返しの勢いほどにぐんぐん上値を伸ばしました。

2016年以降は、米国の長期金利(10年債利回り)の上昇によって金融株の上昇が加速。ナスダック銀行株指数は2007年高値を上抜け、新たな波動形成を確認した直後に、大きな下げをくらったことになります。

しかし、そうだからこそ、高値更新後に上値余地が小さかったナスダック銀行株指数に、今後は優位性が高まっていく可能性が高いのです。ITバブルの崩壊後に起きた現象でもあります。

【図表】2019年はハイテクから金融への物色移行初期か
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチ作成

2019年は両指数ともに急落の反動で戻り高値をつけにいく可能性がありますが、ナスダック100にITバブル時の高値までの下落余地が残っているとすれば、2020年は再び下落基調に入っていくことが予想されます。

一方、ナスダック銀行株指数は過去の高値だった水準にすでに到達していることで、2019年に戻り高値をつけたあとの調整でも下値を切り上げるかたちになり、高値更新に向かっていく展開が予想されます。

2019年も10年債利回りの上昇基調は保たれる可能性が高く、ハイテク株から銀行株に物色が移行する初期の局面に入っていると思われます。ナスダック銀行株指数は2007年高値を中心にもみ合いを形成したあと、上振れる波動形成になるとみています。

1989年当時の時価総額上位を並べると、NTT以外では日本興業銀行を筆頭に大手銀行が上位を占めていました。30年たった今、合併があったせいもありますが、銀行株が上位10に入っているのは三菱UFJだけです。

2019年は1989年から30年が経過します。十干十二支の60年周期の折り返し時点を迎えます。きっと、また、違ったかたちではあるにせよ、30年後には元に戻っている? だったら、PERの低さや、配当利回りが信じられないほど高い銀行株は長期的には魅力的といえそうです。