このレポートのまとめ
1.新年早々アップルが利益警告した
2.iPhoneが売れていない
3.中国市場で苦戦
4.米国では通信会社がハンドセットの補助金をカットしたのが痛かった
5.iPhoneの戦略は大幅に見直しが必要
6.部品メーカーにも悪影響
アップル・ショック
アップル(ティッカーシンボル:AAPL)が1月2日の引け後、利益警告しました。
それによると第1四半期(12月期)の売上高ガイダンスは840億ドルへ引き下げられます。ちなみに旧ガイダンスは890~930億ドル、コンセンサスは913.7億ドルでした。
売上不振の原因はiPhoneが売れていないことによります。
特に中国での売上の減速が著しかったです。中国のアップル店舗への来店客が減少しています。
一方、米国市場では通信会社がハンドセットに対する補助金を相次いで減額したため高価なiPhoneが売れにくくなりました。
なおiPhone以外のビジネス、具体的にはサービス、ウェアラブルズ、Macなどは問題ないと会社側は説明しています。
ちなみに第1四半期のサービス売上高は108億ドルでした。2016年から2020年にかけてサービス売上高は2倍にするという経営計画に沿って着実に前進しています。
またウェアラブルズは前年比+50%近い成長を見ました。アップル・ウォッチ、エアポッズが好調でした。
iPhoneは大幅な戦略の変更が必要
アップルの利益警告は20年ぶりくらいの出来事で、極めて珍しいです。
会社側は今回の利益警告の原因をもっぱらiPhoneにあるとしています。総売上高に占めるiPhone比率は55%前後です。
今回の利益警告の内容から類推するとiPhone売上高は前年同期比で-15%前後だったと思われます。また中国におけるiPhone売上高は前年比-24%から-35%程度落ち込んだと思われます。
これまでアップルは、より大型で高価なiPhoneを出すことで売上高成長率を維持してきました。しかしこのような戦略に消費者がついて行けなくなっている事は明らかです。
今後は一転して値引きもありうると思われます。
さらに同社が積極的に新製品を発表しても消費者の喰い付きが悪いため新製品のスケジュールもスローダウンする必要がありそうです。このため今年中の5G向け製品の発表はなくなると思われます。
スマホ市場そのものも縮小中であり、過当競争の様相を呈しています。
部品メーカーについて
このアップルの発表を受けてアップルに部品を提供している企業の株価が急落しました。主な企業は下の通りです。
これらの企業の見通しも険しいと思われます。
最後にアップルの決算発表は1月29日(火)引け後を予定しています。