みなさん、こんにちは。『今どき株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。

前回のコラムでは『「2019年重大イベント」を読み解く』と題し、現時点で予定されているイベントを軸に、筆者の注目点を紹介いたしました。今回はイベントにこだわらず、「2019年に注目したい市場のテーマ・トピックス・キーワード」という視点で再び2019年を占ってみたいと思います。

イベントは特にありませんが、おそらく2019年に何度となく注目されるであろうキーワードとして、筆者は次の3つを挙げたいと思います。災害準備、次に貿易戦争、そして、万博です。

災害準備を手掛け技術を有する企業群に注目

1つ目の災害準備は既に説明の必要もないでしょう。「今年の漢字」に「災」が選ばれるほど、2018年は多くの自然災害が発生しました。災害級の暑さといった言葉も生まれています。

そして、これらの原因の1つに地球温暖化が指摘されていることを考えれば、2019年に限らず中期的に同様のリスクが継続する可能性は否めません。2019年はこれらへの本格的な対策や取組みがより注目されることになると予想します。

そもそも自然災害の発生は人間に制御できないため、いかにそのリスクを抑制できるかの準備が焦点となります。当然、政府や自治体、各企業、一般家庭においては、これらのリスクへの準備を急ぐことになるでしょう。各家庭が用意すべき防災グッズの充実に限らず、大規模な電源確保システム、治山治水工事、交通網・通信網を含めたインフラの強靭化やバックアップ体制など、官民ともにやるべきことは数えきれないほどあります。

企業においてはBCP(Business Continuity Planning:事業継続計画)の再整備なども進むのではないでしょうか。さらに、気象情報の発信や防災状況の確認といったツールのさらなる発展なども予想されます。株式投資という観点から見ても、これらを手掛ける企業群やそれに対応した技術を有する企業群への注目度はより高まってくると想像します。

貿易戦争が常態化すれば「モノの流れ」が変化する

2つ目の貿易戦争も既におなじみのキーワードでしょう。特に米中間では関税措置などより深刻な展開を見せつつあります。2019年もこれらの政策が大きく変わらないとすれば、より本格的に「モノの流れ」が変化してくるのではないか、と筆者は考えています。

これまでのところは、貿易量の減少や関税などのコスト増は甘受といった「現状の延長線上にある」対応、厳しく言えば弥縫策(びほうさく)にとどまっており、基本的に「一時的な貿易摩擦」というスタンスに基づいたものになっています。しかし、この状態が常態化し、むしろその傾向が強まるとの判断が浸透してくれば、その場凌ぎではないより抜本的な対策を講ずる向きが増加してくるはずです。

年末になって通信機器に関してそういった動きが出始めましたが、この流れが他の製品群にも広がってきてもおかしくはありません。「自由貿易」という概念からは逆行しているように見えますが、利害関係が複雑に絡み合う現実を無視はできません。まして、何よりも現実的な資本市場においては、こういった「モノの流れ」の変化をドライに反映していくのではないか、と考えます。

長期開催の万博はオリンピック関連と異なる銘柄が浮上する

3つ目は大阪に誘致の決まった2025年万博です。とはいえ、直接的な万博関連が取り沙汰されるにはまだ先のことでしょうから、ここでは先回りという感覚で投資に臨みたいところです。

これには、2020年東京オリンピックの時が参考になるでしょう。東京オリンピックが決まったのは2013年でしたが、その後すぐにさまざまな関連需要が注目されました。

ただし、これまでのところ、明確にパフォーマンスに反映されているのは建設関連、通信・交通・インフラ関連にとどまっている印象です。広告・放送関連、観光関連、警備防犯関連などは、むしろこれからが注目されることになるのではと考えます(そういった意味では、2019年のキーワードには万博よりも東京オリンピックの方を推すべきだったかもしれません)。

万博に関しても、資本市場では同様の流れで注目されるのではないかと想像します。万博はオリンピックのように世界の注目を一気に集めることはないでしょうが、その一方で長期間開催されるために経済効果も深く広く波及するとの期待も膨らみます。オリンピック関連とは異なる関連銘柄群もまた浮上してくることでしょう。

振り返れば、高度成長期でも東京オリンピックの6年後に大阪万博が開催されました。今回も大阪万博は東京オリンピックの5年後となり、まるでかつての鏡写しのような展開となっています。当時に青春や社会の第一線を過ごされた方も、(社会の持つ熱量はさすがに違うでしょうが)こんな感覚でオリンピックや万博を捉えていたのかもしれないと思うと、感慨深いものがあります。

 

これらは間違いなく新元号下での象徴的なイベントとなるでしょう。そんな2019年が皆様にとって良い年でありますよう。良い新年をお迎えください!