【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 21792.20  ▼653.17 (12/24)
NASDAQ: 6192.92  ▼140.08 (12/24)

1.概況

先週末の米国市場は米中貿易摩擦や米政府機関の一部閉鎖を警戒した売りで3日続落となりました。小幅に上昇して始まったダウ平均はニューヨーク連銀総裁が株安などを注視している姿勢を示したことで上げ幅を広げ390ドル以上上昇する場面もありましたが、買いが続かず上げ幅を縮め昼ごろに下落に転じるとナバロ大統領補佐官が中国との貿易や構造改革を巡る協議で設けた90日の期限内の合意について険しいと述べたと伝わり下げ幅を広げる展開となりました。取引終盤に463ドル安まで売られたダウ平均は結局414ドル安の22,445ドルとなり3日連続で年初来安値を更新しています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も195ポイント安の6,332ポイントとなりこちらも連日で年初来安値を付けています。

昨日の米国市場はクリスマスの前日で短縮取引となるなか4日続落となりました。米連邦予算が週末に失効し政府機関の一部閉鎖が始まったことが嫌気されたほか、ムニューシン米財務長官が週末に米金融大手6行の首脳と電話会談し決済などに問題がないことを確認したことがむしろマーケットの不安心理を煽る結果となり大幅下落となりました。128ドル安でスタートしたダウ平均は450ドル安余りまで下落した後一旦105ドル安程度まで持ち直す場面もありましたが、再び下げ幅を広げると結局653ドル安の 21,792ドルと安値引けとなり4日連続で年初来安値を更新しています。また、ナスダック総合株価指数も140ポイント安の6,192ポイントとなり前日に続いて年初来安値を付けています。

2.経済指標等

先週末に発表された7-9月期の米実質GDP確定値は年率換算で前期比3.4%増と改定値の3.5%増から下方修正され市場予想を下回りました。11月の米耐久財受注額も前月比0.8%増に止まり市場予想を下回りました。民間設備投資の先行指標となる非国防資本財から航空機を除いたコア受注も0.6%減となり増加を見込んでいた市場予想を下回っています。

一方で11月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.4%増となり市場予想を上回りました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレータは前年同月比1.9%上昇し市場予想と一致しています。米個人所得は前月比0.2%増でした。12月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値も98.3と速報値から上方修正され市場予想を上回りました。

3.業種別動向

先週末の米国市場で業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでも通信サービスが3%余り下落したほか、情報技術も3%近く下げています。また、一般消費財・サービスも2%を上回る下げとなり、金融と資本財・サービスも2%近く下落しました。

昨日の米国市場で業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでも公益事業とエネルギーが4%を超える下落となったほか、不動産と資本財・サービスも3%以上下げています。また、生活必需品も3%近い下げとなっています。

4.個別銘柄動向

先週末の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中27銘柄が下げました。そのなかでもゴールドマン・サックス(GS)が5%近く下げたほか、アメリカン・エキスプレス(AXP)も4%以上下落しました。また、アップル(AAPL)とビザ(V)、ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)、マイクロソフト(MSFT)、ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)も3%を超える下落となりました。一方でナイキ(NKE)とマクドナルド(MCD)、コカ・コーラ(KO)の3銘柄が上げ、ナイキは決算で売上高や1株利益が市場予想を上回ったことで7%以上上げています。

昨日の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄全てが下げました。そのなかでもナイキ(NKE)が6%近く下げたほか、マイクロソフトとジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)も4%以上下落しました。また、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)とユナイテッド・テクノロジーズ、エクソンモービル(XOM)なども4%近く下げています。ダウ平均構成銘柄以外では、中国で販売する量産車の一部を値下げしたと伝わったテスラ(TSLA)が7%以上下げました。一方で金価格の上昇を受けて金鉱大手のニューモント・マイニング(NEM)が3%を超える上昇となっています。

5.為替・金利等

先週末の長期金利は前日比0.01%低い2.79%となりました。クリスマスの前日で短縮取引となるなか昨日の長期金利は0.05%低い2.74%となりました。ドル円では円高が進み110円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

米国市場で ダウ平均が2日間で1,000ドルを超える下げとなったことから本日の日本市場は大きく下げてのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は20,000円の大台を大きく割り込んで下値模索の展開となりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)