FRBが利上げペースを落とす可能性に注目

やはり最大の注目材料はFRBの利上げのスタンスに変化があるのかどうかだと思います。

トランプ減税の効果、財政拡大政策の効果の剥落による経済減速、米ドル高によるインフレの抑制効果、原油価格の下落による消費者物価の抑制効果など、ここのところはFRBがこれまでのように利上げを加速させる材料が見当たらなくなってきました。

もちろんFRBがトランプ大統領に忖度するわけではないでしょうが、弱い経済指標が出てきて、インフレ指標が抑制された場合はFRBの2019年の利上げ回数が減少することは十分に考えられます。

その場合はもちろん米ドルの上昇が一服する、あるいは米ドルの下落が起こる可能性は十分にあります。

米ドルの強さをみる米ドルインデックスをみると2016年末に103.82の高値まで上昇後に2018年2月に88.25まで下落しました。その後先週は97.71と戻り高値まで上昇してきています。

米ドルインデックスのチャートを見ると98~99のゾーンは2017年5月に下抜けするまでサポートとして機能していたところなので、長期的にレジスタンスラインとなるところで、やはり米ドルはこの98~99が抜けられないと下落に反転すると思われ、FOMCの利上げスタンスがどうなるかによると思います。

今週行われるFOMCでは(執筆時点では結果が出ていません)利上げが予想されています。8月までの市場の予想では今年12月の利上げは織り込んでおり、2019年は3回の利上げが織り込まれFF金利は3~3.25%に上昇する見通しでした。

しかし、ここのところの経済指標の減速、おそらく株価の急落もありFRBが利上げペースを落とす可能性は十分にあります。

一番弱気な予想で、12月で打ち止め、しかしコンセンサスは2019年1~2回といったところでないでしょうか。

米ドルの上昇に歯止めがかかるとすると、「米ドルの代わりに何を買う」ということですが、ユーロは欧州の問題があり買いづらい、ポンドもハードブレグジットの可能性もあり買いづらい、オセアニア通貨も中国の経済減速で買いづらいと、米ドルのカウンターで買える通貨も見当たりません。

2019年の為替市場は、弱いもの叩きの動きになるのではないでしょうか。

米ドル/円の予想:FOMCの利上げ回数による

2018年の米ドル/円の値動きを見ると112.60でオープン、3月に104.54の安値まで下落後に10月に114.55の高値をつけて12月14日の終値は113.37となっています。ここまでレンジは約10円8.9%の変動で0.68%の上昇となっています。昨年同様に値幅が小さい年になりそうです。

米ドル/円の長期の移動平均(指数平滑を利用)を見ると60日112.85、250日111.45、500日111.10に位置しており上昇トレンドを継続しています。

FOMCの利上げが来年も3回、少なくとも2回おこなわれるのであれば上昇傾向は継続となるでしょう。その場合は114.50~115のゾーンが上抜けできるかどうかが重要になります。115.10付近が104.54の安値を起点としたフィボナッチ・エクスパンション1倍にあたり、上抜けできれば1.618倍の119.60付近、2.618倍の126.80付近というのがターゲットになります。

一方で来年の利上げが0~1回であれば米ドル/円はまずは110~111円の長期の移動平均が位置するレベルを試しに行くでしょう。ここが維持できれば111~115のレンジ。

111円を下抜けした場合は111~115の4円レンジの倍返しで107円付近への下落を予想します。

ユーロ/円の予想:125円が長期的な重要なサポートレベルに

2018年のユーロ/円の値動きを見ると134.98でオープン、1月に137.49の高値まで上昇、5月に124.61の安値まで下落し12月14日の終値は128.16となっています。

ここまでのレンジは12.88円、9.54%の変動で5.05%の下落となっています。

2017年からの上昇トレンドをうけて1月に137円台の高値まで上昇しましたが、ユーロ米ドルが年初の1.25台から1.12台に下落したことでユーロ/円も下落が加速しました。

やはりユーロの下落トレンドが続いている間はユーロ/円の上値も抑えられるとも思われます。

125円は2017年に上抜けするまでの重要なレジスタンスだったために長期的に重要なサポートレベルになっています。

移動平均線を見ると60日128.95、250日129.55、500日128.90と128~129のゾーンに集中しており下落傾向になっています。

125円がサポートされるようであれば125~133.30~40(戻り高値)の動きとなるでしょう。この前提はユーロの1.11~1.12のゾーンがサポートされることです。しかしユーロがここを抜けて1.10を下抜けするような場合は125円を割れて119円付近(2018年の高値137.50起点のフィボナッチ・エクスパンション1.618倍)がターゲットになります。

英ポンド/円の予想:ハードブレグジットでなければ下落は限定的

2018年の英ポンド/円の動きをみると151.50オープン、1月に156.58の高値まで上昇後、8月に139.87まで下落して12月14日の終値は142.67となっています。

ここまでのレンジは16.71円、11.03%の変動で5.83%の下落となっています。

2016年6月の国民投票の流れで1.13台まで下落したポンド米ドルは2018年まで上昇を続けて今年は1月と4月に1.4380付近をダブルトップに下落トレンドが続いており一時1.25を割れました。

ソフトブレグジットの楽観論からポンドは反発し、英ポンド/円も156円台に上昇しましたが、メイ首相に対する保守党内の不信任投票(結局信任されましたが)、ハードブレグジットに対する懸念でポンドは下落が続いています。

今後のブレグジットの交渉次第ですが、ハードブレグジットでなければポンドの下落は限定的だと思われます。

今の段階でハードブレグジットの影響がどれだけのものになるかは不明ですが、少なくともポンド相場にとっては悪材料と思われます。

英ポンド/円は2016年10月に119.50付近に下落後2018年1月に156.60付近に上昇後下落していますが、このレンジの50%戻しが138.10付近で、ここが重要なサポートになっています。

ここが維持できれば当面138~150円のレンジ。138円を下抜けした場合は130円付近への下落を予想します。

 

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