【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 23323.66  ▼351.98 (12/19)
NASDAQ: 6636.83  ▼147.08 (12/19)

1.概況

米国市場はFOMCの結果を受けてFRBが市場の期待ほど利上げにハト派ではないと受け止められたことや、パウエル議長の会見を受けて世界経済の先行き不透明感が改めて意識されたことなどで大幅反落となりました。ダウ平均は小幅に上昇して始まると堅調に推移しFOMCの結果発表直後に380ドル高余りまで上昇しました。しかし、直ぐに売りが優勢となり急速に上げ幅を縮めマイナスに転じるとパウエル議長が記者会見で世界景気の減速懸念に言及したこともあって下げ幅を大きく広げる展開となりました。一時は510ドル安余りまで売られる場面もあったダウ平均は引けにかけて下げ幅を縮めたものの結局351ドル安の23,323ドルで取引を終え3月23日に付けた年初来安値を更新しています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も147ポイント安の6,636ポイントとなりこちらも年初来安値を付けています。

2.経済指標等

米連邦公開市場委員会(FOMC)は市場の予想通り今年4回目の利上げを決めました。参加メンバーの金利見通しからみた来年の利上げ回数はこれまでの3回から2回へと減りましたが、2020年は1回に据え置かれ利上げの打ち止めが2020年になるとの見通しを維持しました。また、11月の米中古住宅販売件数は年率換算で前月比1.9%増の532万戸となり市場予想を上回りました。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げ、一般消費財・サービスが2%を超える下落となったほか、情報技術と資本財・サービスも2%近く下げています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄はベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)を除く29銘柄が下げました。そのなかでもインテル(INTC)が4%以上下げたほか、アップル(AAPL)とナイキ(NKE)も3%を超える下落となりました。また、ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)も3%近く下げたうえ、ボーイング(BA)とスリーエム(MMM)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、シスコシステムズ(CSCO)も2%以上下げています。ダウ平均構成銘柄以外では、フェイスブック(FB)がIT大手とユーザー情報を共有していたと報じられたことが嫌気され7%を超える下落となりました。半導体大手のマイクロン・テクノロジー(MU)も決算発表を受けて目標株価の引き下げが相次いだことで8%近く下げています。一方で食品のゼネラル・ミルズ(GIS)が決算で1株利益が市場予想を上回ったことで5%高となりました。ゼネラル・エレクトリック(GE)もヘルスケア事業の新規株式公開(IPO)の準備を進めていると伝わり5%を超える上昇となり、製薬大手のイーライ・リリー(LLY)は2019年12月期の業績見通しが好感され2%以上上げています。

5.為替・金利等

長期金利は景気減速懸念が意識され0.06%低い2.75%となりました。ドル円は112円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が下げ幅を広げ 3月23日に付けた年初来安値(20,617円)を試すような展開となるかがポイントとなりそうです。また、金融政策に変更はないとみられていますが、昼ごろに日銀金融政策決定会合の結果が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)