職業柄外食の機会が多く、結果的に自分で料理するのを趣味としている著者だが、偶さか最近Asia’s 50 Best Restaurants のうち在香港のレストランに立て続けに2軒行く機会を得たので、はてさてAsia’s 50 Best Restaurantsの‘50’ とはなんぞやと少々調べてみた。

50レストランの都市別で一番軒数が多いのは、意外と言っては失礼だが、バンコックが香港と並んで9軒とトップを占めている。食といえば香港か東京かと思っていたが、グルメ都市ナンバーワンはタイのバンコック。東京は第3位8軒に甘んじている。第4位はシンガポールと順当な順位につけている。国別では、はやり日本が大阪・福岡を加えて第1位でインバンドを支えるグルメ大国日本の面目を保っている。

では何故バンコック?との思いでThe World’s most visited citiesを調べてみるとなんと2018年レポートでは旅行者訪問数バンコックは世界一であり、次いでロンドンとなっている。因みに東京は第8位、香港14位である。つまり世界の旅人の舌がバンコックの街レストランの味を鍛えたのだ。むべなるかな。

そして、頑張っているなと思うのが、インドとスリランカである。2つの国を足すと中国本土プラス台湾と並ぶ国別第5位に食い込んでくる。個別のレストランで4年連続アジアナンバーワンの地位を維持しているGaggan(World Best 50では第5位)は、バンコックにあるのだが、Progressive Indian Cuisine とあり、カルカッタ出身のインド人シェフが腕を振るっているインド料理店である。しかも、2020年に閉店すると発表しているので更にその店の希少性が上がっているのかもしれない。閉店した後は福岡で日本人シェフと一緒に小さなレストランをオープンするという情報もある。近い将来インド料理と和食の融合がみられるかもしれない。インド料理恐るべし。

一方、インド・スリランカにある店だからといって必ずしもインド料理店とは限らない。49位のインド・ムンバイにあるWasabi、45位のスリランカ・首都コロンボにあるNihonbashi は店名からして両方とも無論日本料理店である。筆者が1980年代に米国駐在したころは現地の日本料理屋といえば、メニューは照り焼きチキンと天ぷらしかないという時代であったが、あれから30年以上の月日を経て、物流の改善もあり、和食が日本以外の国でAsiaのベストレストランにカウントされるのも感慨深い。

アジアのベストレストランを眺めていると、料理の世界のクロスボーダー化が思った以上に進んでおり、そこには「和食」の世界進出も改めて大きな驚きでもあった。何せ50レストランの代表する一皿が写真で掲載されているのだが、いずれもこれは「懐石料理」の一皿かと思うほどのプレゼンテーションである。そして今週末香港ではWine and Dine Festival が四日間にわたって開催される。年に一度の食の祭典だ。楽しみは尽きない。