今週の相場の焦点は3つ。米中貿易摩擦と日米通商交渉、そしてFOMCだ。
まず米中については、トランプ政権が中国からの輸入品2000億ドル分に関税を上乗せする措置を発表した時点でマーケットはいったん材料出尽くしと捉えた。またムニューシン米財務長官が中国側に閣僚級協議を提唱、中国側も応じる意向を示していたことで対立ムードは緩和されていた。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は21日、中国は予定していた米国との貿易協議を取りやめると報じた。この影響がどうでるかを見定める必要がある。
日米については、24日に茂木敏充経済再生相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表らで、閣僚級の貿易協議(FFR)が開かれる。読売新聞は日本と米国が新たに2国間の貿易協議を始める見通しと報じた。日本政府は、輸入自動車への関税の回避を条件に新2国間協議を始めたい考えで、FFRで提案、安倍首相とトランプ大統領が26日に開く会談で正式に合意することを想定している。首脳会談後に共同声明を出し、新2国間協議の開始を確認する予定だという。この通りに進めば市場は好感するだろう。自動車関税を回避することが市場(と日本経済)にとって最優先事項だからだ。
25~26日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)で、米連邦準備理事会(FRB)は今年3回目の利上げを決めるのはほぼ確実で市場も織り込み済み。ポイントはFOMCメンバーが示す今後の金利予測だ。ドル高要因となる可能性のほうが高く、日本株にとっては好材料だが、懸念は米国の金利上昇で米国株が下落すること。S&P500の益利回りと米国10年債利回りの差をとったイールドスプレッドは米国株の高値更新と長期金利の上昇で低下、2月に米国株が急落した直前の水準に接近しており金利対比のバリュエーション面で株価の割高さが意識される。
今週は9月最終週で月末、四半期末、上半期末に当たる。9月最後の5営業日の日経平均のパフォーマンスは昨年こそプラスだったが、それ以前は4年連続マイナス。配当権利落ちや期末要因などが絡んでいるのかもしれない。いずれにせよ、機関投資家の配当再投資の効果はそれほど大きくない。日本株相場は短期間で大幅に上昇しただけに利益確定売りが出やすいだろう。しかし、日経平均2万3000円の壁やTOPIX1800ポイント回復など、相場の方向性は明確に上放れである。利益確定売りで押す場面があれば拾っておきたい。
予想レンジは2万3600円 - 2万4200円とする。日米通商協議やFOMC後のドル円次第で日経平均は1月につけた年初来高値更新もじゅうぶんありえるだろう。