2026年5月29日(金)8:30発表
日本 東京都区部消費者物価指数2026年5月分速報

【1】結果:東京コアCPIは前年同月比1.3%上昇 エネルギーは政策効果もあり限定的

2026年5月の東京都区部消費者物価指数(以下、東京CPI)は、ヘッドラインの総合指数が前年同月比1.4%上昇と、前回4月の同1.5%からわずかながら伸びが減速しました。コア指標である生鮮食品を除く総合指数(東京コアCPI)は、前月から伸びが減速し同1.3%の上昇となりました。

コアコアCPIと称される生鮮食品・エネルギー除く総合指数は同1.6%上昇と、0.3ポイント伸びが鈍化しました(図表1・2)。

【図表1】東京CPI 2026年4月速報値結果
出所:総務省、ブルームバーグよりマネックス証券作成
【図表2】東京CPIの推移(前年同月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成

中東情勢を受け、ガソリン価格の高騰などが危惧される局面ですが、ガソリン価格は前月比1.1%上昇となりました。政府による施策効果が上振れを抑えており、目立った上昇には至っていません(図表3)。

【図表3】直近におけるエネルギー構成品目のインフレ動向
出所:総務省よりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:川上の財ではすでにインフレ兆候がみられる

物価動向は、危惧されているインフレの上振れが表出されていない状況です。むしろ、基調物価の指標を確認しても、伸びの鈍化が確認されます(図表4、黒線)。賃金やサービス関連のインフレ動向も、若干の腰折れが確認されます(図表5)。これらからは、基調物価の鈍化が想起されるように思われますが、筆者はある程度持ち直して推移していくとみています。賃上げに加え、足元の資源高などが物価に波及していくと考えられるためです。

【図表4】日銀公表 特殊要因を除いたコアインフレ指標(前年同月比、%)
出所:日本銀行よりマネックス証券作成
※特殊要因とは、消費税率の変更・教育無償化政策+ガソリンや電気ガス代等の負担緩和策+2021年の携帯電話通信料の引き下げ+旅行支援策の各影響
【図表5】賃金・サービス関連指標の推移(前年同月比、%)
出所:総務省、日本銀行、厚生労働省よりマネックス証券作成

実際に、日銀が算定する中間需要物価指数を確認すると、川上の財での物価上昇圧力が確認できます(図表6)。中間需要物価指数は川上から川下(ID-1からID-4)に財を分類し、それぞれの物価動向を捕捉する指標です。現状は輸入物価の上昇に沿って、川上の財のインフレ(ID-1など)が確認され、これが次第に川下ないしは消費者物価への波及が予期されます。そのため、現状ではパススルーの速度がポイントとなる局面と言えます。

【図表6】輸入物価指数と中間需要物価指数の推移(前年同月比、%)
出所:日本銀行よりマネックス証券作成

【3】所感:先々の物価上振れリスクを阻止する利上げへ

前号でも指摘したビハインド・ザ・カーブ(主に金融・経済分野で中央銀行などの政策対応が景気やインフレに遅れる「後手に回る」状態)に陥るリスクへの対応が、目下の課題と考えています。上述のように、ラグをもって、原油高などが消費者物価に波及していくことが見込まれるうえ、賃上げ率も5%を超える公算が高い中で、利上げ判断は正当化されるでしょう。市場予想と概ね一致していますが、筆者自身も6月の政策金利引き上げを見込んでいます。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太