表の見方について広木が動画(約12分)で解説しています。

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PORTFOLIO OVERVIEW(23 Oct 2017)

今週のFX-1ポートフォリオはドルのネットロングを先週対比増加させた(9.3% vs. 4.0%)が、ロング・ショートのサイドを変更した通貨はなかった。ウェイト変更のマグニチュードも小さい。3%を超える変更はなかった。まさにsteady-as-she-goes(進路を保て) ※1の週だった。

ロングしているのは円、ポンド、そしてユーロ&北欧通貨であり、これらの国の成長ファクターは米国をアウトパフォームしている。ここ数カ月、バリュエーション・ファクターも効いている。特にスカンジナビアで顕著である。相関リスクを考慮してポジションの微調整を行っている。

カナダドル、NZ、豪ドルはショート継続。比較的堅調なコモディティ価格が経済活動に転嫁されておらず、これらの通貨の評価は依然として割高である。

衆院選の結果を受けて円が弱くなった。「選挙」というイベントに関してマーケットはあまりにも一方向に傾いていた。すなわち、1)安倍氏が苦戦する場合、安倍氏はアベノミクスで思い切った賭けにでるだろう。それは新たな円安材料になる 2)安倍氏が勝つ場合、日銀総裁として黒田氏の続投が決まる。緩和的な金融政策の継続あるいは拡大がなされるだろう。つまり、どっちに転んでも円安しかないと。

ある通貨の方向性がひとつしかないように見えるとき、往々にして反対の方に行きがちである。FX-1は現在、円についての「卓越風」 ※2 を学習中である。選挙が円に及ぼすインパクトはおそらく短命に終わるだろう。この影響が過ぎた後、ファンダメンタルズに回帰するだろう。足元では日本経済はしっかりしており、インフレ見通しも緩やかに改善している。それが円の方向性を反転させると考える。

※1 Steady as she goes: 航海用語。古くは「ようそろ」「よーそろ」「宜候」などと訳されていた。映画「パイレーツ・オブ・カリブアン/生命の泉」で女船長役のペネロペ・クルスもこの掛け声を発していた。

※2 卓越風:ある地点で月ごと、または年間を通して一番吹きやすい風向きの風のこと。冬場に関東地方で吹く「空っ風」、「六甲おろし」や「赤城おろし」なども、卓越風の一種。

DeepMacro

DeepMacro社は、ビッグデータ技術を利用して、自動的かつリアルタイムにグローバルなマクロ経済を観察・分析し、これを基にマーケットの分析を行う米国のリサーチ会社です。詳しくは、こちらをご覧ください。

DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルの説明

概要

DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルは、DeepMacro 社のグローバル・マクロ・システムに基づき、G10通貨についてシステマティックなポートフォリオ戦略を提供するものです。通貨の変動を説明する様々な要因を捉え、DeepMacro 社のリサーチ・システムの膨大なデータを、流動性が高く割安なポートフォリオに変換します。

キーファクター:

成長要因:

強い景気サイクルにある通貨を買い、弱い景気サイクルにある通貨を売ります。この判断は別のモデル体系であるDeepMacro 社の「Growth Factor」に基づきます。「Growth Factor」は主要国のビッグデータを含む経済成長に関するリアルタイム・インディケーターです。

キャリー:

高いキャリーの通貨を買い、低いキャリーの通貨を売ります。しかし、高キャリーは高リスクでもあります。したがって、リスクに見合うだけのキャリーが得られる場合のみ、このファクターによる投資判断を行います。

バリュエーション:

割安な通貨を買い、割高な通貨を売ります。経済理論では、高い生産性の伸び、高い輸出価格、大きな経常黒字の通貨は高くなることが示されています。このモデルのバリュエーション・ファクターはこれらの要因にもとづき割高・割安の判断をおこないます。

グローバル・リスク:

投資家のリスク回避姿勢が強まった時には、いわゆる「セイフ・ヘイブン(安全な寄港地)」通貨を買います。DeepMacro社では金融市場の価格に基づいて市場のリスク選好度を見積もっており、「グローバル・リスク・インディケーター(GRI)」を算出しています。GRIが点灯した場合、モデルは日本円、スイスフラン、米ドルなどへの買いを指示します。

ポジション調整:

モデルは対米ドルで9通貨のポジションを表示します。モデルは各通貨への集中度制限などリスク管理のルールを適用し、最適化を行った結果としてポートフォリオを構築します。