※表の見方について広木が動画(約12分)で解説しています。

※お客様のご利用の端末の環境によっては動画をご覧いただけない場合がございます。あらかじめお客様ご自身の環境をご確認のうえ、ご利用ください。なお、スマートフォンでもご視聴いただけますが、ご視聴いただくには、V-CUBEセミナーアプリケーションのインストール(無料)が必要になります。
視聴環境
iPhone/iPad用アプリケーションをインストールする
Android®用アプリケーションをインストールする

PORTFOLIO OVERVIEW(1 Aug 2017)
今週のドルのネットポジション(-9.5%)はショートを維持し、先週(-3.9%)よりもショート幅を拡大させた。他通貨については、相対的に堅調な成長要因を背景に豪ドルをショートからロング(実際はニュートラルに近い)へ変更した。世界的に広がっている経済成長、各中央銀行(FEDを除く)が出口戦略を模索し始めていること、中国からの資本流出が安定していること、これらの要因はすべて、弱いドルという方向性を指し示している。(ただし、1つの大きなリスクを伴う。以下参照)

ロングサイドは、ユーロと北欧通貨にロング・ポジションを維持。今週は北欧通貨のウェイトを増やした。ユーロはやや割高の域に入ってきているが、北欧通貨にその問題はないためである。日本円もロングのままだが、サイズは小さい。日本円は若干上昇してきてはいるが、新たなニュースを待っている状態だ。豪ドルは先に述べた通り、より堅調な経済データが通貨の過大評価(割高)という問題を相殺したため、ニュートラルに変更した。

ショートに関しては、スイスフランが長らくショートポジションとなっているが、今回、過去最大のショート幅に達した。スイスフランは最も割高な通貨と判断されており、ショートポジションをさらに一段増やすほどに、経済成長が相対的に軟調である。ニュージーランド・ドルは、豪ドルほどの成長要因の改善を見せていないため、豪ドル/ニュージーランド・ドルのトレードは面白い展開となり得る。

ドル安という見方に対する最大のリスクは、ドルがすでにかなりの水準まで下落してしまっている点だ。われわれのモデルによれば、ドルは1月11日につけた実質貿易加重ベースでのピークから、すでに約9%下落している。ドルが同様の期間(200日)でこの規模の下落を経験した場合、その後、ほとんどの場合反発している。過去30年間でほぼ例外なく、だ。FX-1は現時点でドル買いの理由を何一つ見つけてはいないが、ショートポジションが現在ほどの水準に達してくれば、モメンタムが急に変化することもあり得るだろう。

DeepMacro

DeepMacro社は、ビッグデータ技術を利用して、自動的かつリアルタイムにグローバルなマクロ経済を観察・分析し、これを基にマーケットの分析を行う米国のリサーチ会社です。詳しくは、こちらをご覧ください。

DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルの説明

概要

DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルは、DeepMacro 社のグローバル・マクロ・システムに基づき、G10通貨についてシステマティックなポートフォリオ戦略を提供するものです。通貨の変動を説明する様々な要因を捉え、DeepMacro 社のリサーチ・システムの膨大なデータを、流動性が高く割安なポートフォリオに変換します。

キーファクター:

成長要因:

強い景気サイクルにある通貨を買い、弱い景気サイクルにある通貨を売ります。この判断は別のモデル体系であるDeepMacro 社の「Growth Factor」に基づきます。「Growth Factor」は主要国のビッグデータを含む経済成長に関するリアルタイム・インディケーターです。

キャリー:

高いキャリーの通貨を買い、低いキャリーの通貨を売ります。しかし、高キャリーは高リスクでもあります。したがって、リスクに見合うだけのキャリーが得られる場合のみ、このファクターによる投資判断を行います。

バリュエーション:

割安な通貨を買い、割高な通貨を売ります。経済理論では、高い生産性の伸び、高い輸出価格、大きな経常黒字の通貨は高くなることが示されています。このモデルのバリュエーション・ファクターはこれらの要因にもとづき割高・割安の判断をおこないます。

グローバル・リスク:

投資家のリスク回避姿勢が強まった時には、いわゆる「セイフ・ヘイブン(安全な寄港地)」通貨を買います。DeepMacro社では金融市場の価格に基づいて市場のリスク選好度を見積もっており、「グローバル・リスク・インディケーター(GRI)」を算出しています。GRIが点灯した場合、モデルは日本円、スイスフラン、米ドルなどへの買いを指示します。

ポジション調整:

モデルは対米ドルで9通貨のポジションを表示します。モデルは各通貨への集中度制限などリスク管理のルールを適用し、最適化を行った結果としてポートフォリオを構築します。

【お知らせ】「メールマガジン新潮流」(ご登録は無料です。)

チーフ・ストラテジスト広木 隆の<今週の相場展望>とコラム「新潮流」とチーフ・アナリスト大槻 奈那が金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信する「アナリスト夜話」などを毎週原則月曜日に配信します。メールマガジンのご登録はこちらから