NYダウ: 23857.71 ▼344.89 (3/27)
NASDAQ: 7008.81 ▼211.74 (3/27)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場は、トランプ政権が重要な技術に対する中国からの投資を制限する選択肢として国際緊急経済権限法の発動を検討していると報じられるなか、その対象となりそうな半導体などの成長が阻害されるとの見方からハイテク株に売りが出て大幅反落となりました。前日終値を小幅に割り込んだところで下げ渋り底堅さをみせると昼過ぎに243ドル高まで買われたダウ平均ですが、その後上げ幅を縮めるとマイナスに転じ下げ幅を大きく広げる展開となりました。取引終盤に500ドル安近くまで売られたダウ平均は引けにかけてやや持ち直したものの結局344ドル安の23,857ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も211ポイント安の7,008ポイントとなり、節目の7,000ポイントは何とか維持したものの3%近い下落となっています。
2.経済指標等
1月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数で主要20都市圏の住宅価格指数は前年同月比6.4%上昇し市場予想も上回りました。一方で3月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数は127.7と前月から低下し市場予想も下回っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち7業種が下げ、情報技術が3%を超える下落となったほか、金融と一般消費財・サービスも2%近い下げとなりました。一方で公共事業や電気通信サービスなどの4業種が上げ、公益事業は1%を上回る上昇となりました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄では、ハイテク株に売りが出るなか前日に大幅高となったマイクロソフト(MSFT)が4%を上回る下落となりダウ平均構成銘柄で下落率トップとなりました。また、シスコシステムズ(CSCO)も3%を超える下落となったうえ、アップル(AAPL)やインテル(INTC)も2%以上の下落となっています。一方でゼネラル・エレクトリック(GE)が4%以上上げたほか、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)も2%近く上昇しました。ダウ平均構成銘柄以外では、利用者の個人情報流用が問題となっているフェイスブック(FB)が5%近く下げ、グーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)やアマゾン・ドット・コム(AMZN)も4%前後の下げとなっています。また、ウーバー・テクノロジーズの自動運転車が事故を起こした問題で自動運転車の試験を世界的に中断すると発表した半導体大手のエヌビディア(NVDA)も8%近く下げています。「モデルX」のカリフォルニアでの死亡事故で当局が調査に乗り出すと伝わった電気自動車のテスラ(TSLA)も8%以上下げています。韓国子会社に倒産の可能性があると報じられたゼネラル・モーターズ(GM)も3%余り下落しています。
5.為替・金利等
長期金利は0.08%低い2.77%となりました。ドル円は105円台前半で推移しています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
本日の日本市場は米国株安を受けて大きく下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は160円程度の配当落ちもあって昨日に回復した節目の21,000円を割り込んで下げ幅を広げそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)