1.概況
本日の日本市場は買いが続かず小幅に続落しました。米国株高を受けて47円高で寄り付いた日経平均はまもなくして87円高まで買われましたが、5日移動平均線を上回ったところで上値を押さえられると上げ幅をやや縮め前場は57円高で取引を終えました。後場も寄り付き後しばらくして97円高まで買われましたが、今度も5日移動平均線を上回ったところで上値を押さえられました。二度に渡って5日移動平均線近辺で上値が伸び悩んだことで上値の重さが意識されると日経平均は14時半過ぎにマイナスに転じ30円安まで売られました。その後プラス圏に持ち直すことができなかった日経平均は結局19円安の22,764円と小幅に下げて年内最終の取引を終えました。一方で新興市場は堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均はともに反発しています。東証1部の売買代金は本日も低調で1兆5465億円と引き続き2兆円を割り込んでいます。

2.個別銘柄等
東南アジアで塩化ビニールなどの化学品事業が好調で2017年12月期の営業利益が従来予想を100億円上回る前期比30%増の1250億円程度になりそうだと伝わった旭硝子(5201)が一時3%高となりました。また、TDK(6762)も一時2.4%高まで買われる場面がありました。小容量タイプの全固体電池を2018年春にも量産化する計画と報じられたことが好感されました。国内大手証券の目標株価の引き上げを受けてテルモ(4543)も一時2%近く上げています。一方でカジュアル衣料大手のアダストリア(2685)は8.4%安と大きく下げ年初来安値を付けました。秋冬商品の在庫処分に伴う値下げで粗利益率が悪化したうえ、オフィスの移転などで販管費もかさんだことで第3四半期(3-11月期)の営業利益が5割近い大幅な減益となったことが嫌気されました。2017年3-11月期の営業利益が540億円前後と前年同期比6%減になったようと伝わったローソン(2651)も3.1%安となっています。

【VIEW POINT: 明日への視点】
本日は大納会で、今年の取引も本日で終わりました。大納会をプラスで終えることはできませんでしたが、衆議院選挙での与党の圧勝や好調な中間決算を受けて水準を切り上げおよそ26年ぶりの高値を付けた日経平均の年間の上昇率は19.1%となり、アベノミクス相場では5割を超す上昇となった2013年に次ぐ高さとなりました。さて来年は戌年です。戌年の日経平均のこれまでの勝敗は4勝1敗で高い勝率を誇ります。こうしたなか好調な企業業績が続きそうということもあって来年も「戌笑う」という相場格言の通りの上昇相場が期待できそうです。本年も当欄をご覧頂き誠にありがとうございました。2018年もどうぞよろしくお願い致します。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)