1.概況
本日の日経平均は187円安の2万2681円と続落しました。TOPIXやJPX日経400、東証2部指数も下落しましたが、新興市場のマザーズ指数は1%近く上げています。昨日の米国市場で主要指数が下落したこと、また直近の大幅上昇への警戒感から利益確定売りが出やすかったことを受け、日経平均は288円安と大幅に続落して寄り付きました。日経平均は9時半過ぎに356円安と1日の安値をつけましたが、その後は徐々に下げ幅を縮めました。まもなく160円安程度まで戻した日経平均ですがその後再び下げ幅を広げて前場を316円安で終えました。日経平均は後場寄りからじわじわと値を戻し、一時は140円安あまりまで下げ幅を縮めました。結局187円安と続落した日経平均ですが、安値からは下げ幅を半分近くまで縮めて取引を終えました。東証1部の売買代金は3兆5894億円となりました。東証33業種は石油石炭製品や鉱業、海運業など8業種が上昇しました。一方で6%超の大幅安となったゴム製品を筆頭に、非鉄金属、水産・農林業、空運業など25業種が下げています。

2.個別銘柄等
東証1部の売買代金上位銘柄は高安まちまちでした。売買代金トップの任天堂(7974)が小幅に上げたほか、SUMCO(3436)、ソニー(6758)、ファーストリテイリング(9983)などが上昇しました。中でもSUMCOは昨日発表した第3四半期の決算で7-9月の3ヶ月の営業利益が前年同期比378%増の114億円と非常に好調で今期の業績予想を上方修正したこと、増配予想を発表したことで10%超の大幅高となっています。一方でソフトバンクグループ(9984)が2%下げたほか、ファナック(6954)、東京エレクトロン(8035)、三菱UFJ(8306)はそれぞれ1%台の下げとなりました。また、売買代金9位に入ったブリヂストン(5108)は、7-9月の3ヶ月の営業利益が前年同期比12%減と低調だったこと、今期の業績予想を下方修正したことが嫌気され8%近い大幅安となっています。その他材料が出たところでは、7-9月期の営業利益が前年同期比7%減と冴えなかった建設準大手の熊谷組(1861)は14%近い大幅安となりました。

【VIEW POINT: 明日への視点】
日経平均は200円近く下落し続落しました。日経平均の予想1株当たり利益(EPS)は昨日時点で1,510円程度まで上昇しています。決算発表シーズン入り前は1,430円程度でしたので、企業の業績予想の上方修正を受け5%以上増加したことになります。結果的に日経平均の予想PERは15倍程度と業績面から見た割高感があるわけではありません。日経平均は25日移動平均線からの乖離率が4%程度とテクニカル面から見てやや過熱感がありますが、日柄調整で過熱感を冷ましながら一段高への機会を伺うのかもしれません。来週は前半で日本企業の決算発表がほぼ終了するほか、15日に発表される米国の消費者物価指数(CPI)や小売売上高などが注目材料となりそうです。

(マネックス証券 マーケット・アナリスト 益嶋 裕)