NYダウ: 22761.07  ▼12.60 (10/9)
NASDAQ: 6579.73  ▼10.45 (10/9)

【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>

1.概況
先週末の米国市場は雇用統計の結果を受けて早期の利上げ観測が高まったことが相場の重石となるなか小幅に高安まちまちとなりました。昼過ぎに一時44ドル安まで売られるなど一日を通して軟調に推移したダウ平均は引けにかけて下げ幅を縮めたものの、戻し切れず結局1ドル安の22,773ドルと8日ぶりに反落して取引を終えています。また、S&P500株価指数も2ポイント安の2,549ポイントと9日ぶりの反落となりました。一方でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は4ポイント高の6,590ポイントと9日続伸となり、6日連続で史上最高値を小幅に更新しています。昨日の米国市場はコロンバス・デーの祝日で市場参加者が限られるなか方向感に乏しい展開となり小幅に下落しました。午前中は前日終値を挟んで小幅に揉み合う展開となったダウ平均ですが、午後に入り売りが優勢となりマイナス圏で推移すると取引終盤には34ドル安まで売られる場面もみられました。引けにかけて下げ幅を縮めたダウ平均ですが結局12ドル安の22,761ドルと続落となっています。また、S&P500株価指数も4ポイント安の2,544ポイントと続落となったほか、ナスダック総合株価指数は10ポイント安の6,579ポイントと10日ぶりの反落となっています。

2.経済指標等
先週末に発表となった9月の米雇用統計で非農業部門雇用者数はハリケーンの影響もあり前月比3万3千人減と7年ぶりのマイナスとなり増加を見込んでいた市場予想も下回りました。しかし、失業率が4.2%と前月から0.2ポイント改善したほか、平均時給も前年同月比2.9%増と市場予想を上回る伸びとなっています。また、8月の米卸売売上高は前月比1.7%増となり市場予想を上回りましたが、米卸売在庫は前月比0.9%増に止まり市場予想を下回りました。8月の米消費者信用残高も131億ドル増に止まり市場予想を下回っています。昨日は主要な経済指標の発表はありませんでした。

3.業種別動向
先週末の米国市場で業種別S&P500株価指数は全11業種のうち電気通信サービスや生活必需品、エネルギーなどの8業種が下げ、電気通信サービス2%安となったほか、生活必需品も1%近く下げています。一方で情報技術と一般消費財・サービス、金融が上げています。昨日の米国市場で業種別S&P500株価指数は全11業種のうちヘルスケアや一般消費財・サービス、金融などの6業種が下げました。一方でエネルギーや情報技術、公益事業などの5業種が上げています。

4.個別銘柄動向
先週末の米国市場では、熱帯低気圧「ネイト」のメキシコ湾岸への接近による原油安を受けてシェブロン(CVX)が1%を超える下落となり、ダウ平均構成銘柄で下落率トップとなったほか、エクソンモービル(XOM)も軟調となりました。ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)やゼネラル・エレクトリック(GE)、ウォルマート・ストアーズ(WMT)なども下げています。一方でトラベラーズ(TRV)やマクドナルド(MCD)、シスコシステムズ(CSCO)などが上げています。ダウ平均構成銘柄以外では、アマゾン・ドット・コム(AMZN)が医薬品のネット販売を近く始めると伝わり競合するドラッグストアのウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)やCVSヘルス(CVS)などが大幅安となっています。昨日の米国市場では経営幹部の大規模な交代を明らかにしたゼネラル・エレクトリック(GE)が4%近く下げ、ダウ平均構成銘柄で下落率トップとなりました。一方でウォルマート・ストアーズ(WMT)が2%近く上げ、ダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなっています。ダウ平均構成銘柄以外では、新車種の生産難航などを理由に電動トラックの発表が遅れると明らかにした電気自動車のテスラ(TSLA)が4%近く下げたほか、投資判断の引き下げを受けてメディア大手のバイアコム(VIA)も4%余りの下落となっています。

5.為替・金利等
先週末の長期金利は雇用統計を受けて早期の利上げ観測が高まり0.01%高い2.36%となりました。昨日の債券市場はコロンバス・デーの祝日で休場でした。ドル円は米雇用統計を受けて先週末に113円40銭台まで円安が進む場面がありましたが、北朝鮮が米西海岸まで届く新たな長距離ミサイルを試験発射する用意を進めているとの報道を受けて一転して円高に振れました。朝方は112円台後半で推移しています。

【VIEW POINT: 今日の視点】
日本が休場中の米国市場に大きな動きがみられなかったことから本日の日本市場は小動きでのスタートが予想されます。こうしたなか本日は朝鮮労働党の創建記念日で北朝鮮による軍事的挑発が警戒されることから、地政学リスクが意識される一日となりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)