NYダウ: 21629.72  ▼8.02 (7/17)
NASDAQ: 6314.43  △1.97 (7/17)

【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>

1.概況
先週末の米国市場は米CPIが市場予想を下回ったことで米連邦準備理事会(FBR)による利上げ観測が後退したことで続伸となり、ダウ平均とS&P500株価指数が史上最高値を更新しました。午前中はマイナスとなる場面もみられるなど伸び悩んだダウ平均ですが、午後に入って上値を大きく伸ばすと取引終盤には130ドル高近くまで上昇しました。ダウ平均は引けにかけて上げ幅を縮めたものの、結局84ドル高の21,637ドルと4日続伸となり連日で史上最高値を更新しています。また、S&P500株価指数も11ポイント高の2,459ポイントと3日続伸となり6月19日に付けた史上最高値を更新しています。さらにハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も38ポイント高の6,312ポイントと6日続伸となりました。昨日の米国市場は材料に乏しいなか小幅に高安まちまちとなりました。前日に史上最高値を更新していたダウ平均とS&P500株価指数は利益確定の売りに押されて反落となったものの、時価総額の大きいハイテク株の一角が堅調だったことでナスダック総合株価指数は続伸となりました。前日終値を挟んで上下20ドル程度の値幅で一日を通して揉み合う展開となったダウ平均は結局8ドル安の21,629ドルと5日ぶりに反落して取引を終えています。また、S&P500株価指数も0.1ポイント安の2,459ポイントと4日ぶりに反落となりました。一方でナスダック総合株価指数は1ポイント高の6,314ポイントと7日続伸となっています。

2.経済指標等
先週末に発表された6月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.6%上昇し市場予想を下回りました。6月の米小売売上高も前月比0.2%減と2カ月連続のマイナスとなり市場予想を下回りました。また、7月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値も93.1と9カ月ぶりの低水準となり市場予想を下回っています。一方で6月の米鉱工業生産は前月比0.4%増となり市場予想を上回りました。6月の米設備稼働率は前月比0.2ポイント上昇の76.6%となっています。5月の米企業在庫は前月比0.3%増となり市場予想と一致しています。昨日に発表となった7月のニューヨーク連銀製造業景況指数は9.80と前月から低下し市場予想も下回りました。

3.業種別動向
先週末の米国市場で業種別S&P500株価指数は全11業種のうち金融を除く10業種が上げました。そのなかでも不動産が1%を超える上昇となったほか、情報技術も1%近く上げています。昨日の米国市場で業種別S&P500株価指数は公益事業や一般消費財・サービス、不動産などの7業種が上げました。一方でヘルスケアやエネルギーなどの4業種が下げています。

4.個別銘柄動向
先週末の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中25銘柄が上げました。なかでも投資判断の引き上げを受けてウォルマートストアーズ(WMT)が1%を超える上昇となり、ダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなったほか、マイクロソフト(MSFT)やインテル(INTC)なども1%を上回る上昇となりました。一方で金利低下を受けてJPモルガンチェース(JPM)が1%近く下げ、ゴールドマン・サックス(GS)も売られました。ダウ平均構成銘柄以外では、ソフトバンクグループ(9984)の孫正義社長が著名投資家のウォーレン・バフェット氏と会談し、ソフトバンクグループ傘下のスプリント(S)への出資を話し合ったと伝わったことでスプリントが大きく上昇しました。昨日の米国市場では、目標株価の引き上げを受けてアップル(AAPL)やアマゾン・ドット・コム(AMZN)が買われました。また、ビザ(V)で最高経営責任者(CEO)を務めていたチャールズ・シャーフ氏を後任のCEOに任命したと発表した米投資銀行大手のバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)も経営刷新による業績改善を期待する買いで上げています。一方で決算は増収増益だったものの、総収入や1株利益が市場予想に届かなかった資産運用大手のブラックロック(BLK)が大きく下げています。

5.為替・金利等
先週末の長期金利は米CPIが市場予想を下回ったことで0.01%低い2.33%となりました。また、昨日の長期金利も0.02%低い2.31%となっています。ドル円はFBRによる利上げ観測が後退したことで円高が進み112円台後半で推移しています。

【VIEW POINT: 今日の視点】
本日の日本市場はドル円が円高となっていることから下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が25日移動平均線(先週末で20,063円)や一目均衡表の基準線(20,036円)、転換線(20,028円)などをサポートに下げ渋る展開となるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)