1.概況
本日の日経平均は64円安の1万9929円と続落しました。TOPIXやJPX日経400も下落した一方で、新興市場のマザーズ指数は上昇しました。昨日の米国市場で主要指数が下落したことを受け、日経平均は137円安の1万9856円と続落して寄り付きました。日経平均は寄り付きが1日の安値となると、その後は徐々に下げ幅を縮めました。日銀が指定利回りで無制限に長期債を買い入れる「指し値オペ」と長期債買い入れの増額を通知したことで長期金利が低下し、日米金利差の拡大が意識されて円安ドル高が進みました。円安進行が好感されて日経平均は11時前に下げ幅を10円台まで縮める場面があり、前場を28円安で終えました。日経平均は後場寄りから下げ幅を広げるとその後は狭い値幅でのもみ合いとなり、結局64円安で大引けをむかえました。東証1部の売買代金は2兆2732億円となりました。東証33業種は保険業、海運業、輸送用機器の3業種のみ上昇して残る30業種は下落しました。中でも水産・農林業と不動産業は2%を超える下げとなっています。

2.個別銘柄等
東証1部の売買代金上位銘柄は下げた銘柄が多くなりました。売買代金3位のキヤノン(7751)が4%近く下げたほか、三菱UFJ(8306)、ソフトバンクグループ(9984)、三井住友(8316)、ソニー(6758)などが下落しました。欧州連合の欧州委員会がキヤノンに対してEUの企業買収手続きルールに違反した疑いがあると警告したと報じられたことが嫌気されました。一方で売買代金トップの任天堂(7974)やトヨタ自動車(7203)、SUBARU(7270)は上昇しました。自動車各社は日産自動車(7201)やマツダ(7261)も上昇するなど円安を好感してか堅調さが目立ちました。その他材料が出たところでは、セブン&アイ・ホールディングス(3382)が1.4%安と軟調でした。昨日発表した第1四半期の決算で、営業収益と営業利益は増収増益を確保したものの、営業利益が市場予想を下回ったことが嫌気されたようです。毒性の強い「ヒアリ」が東京都でも見つかったとの報道を受け、殺虫剤のフマキラー(4998)が12%超の大幅高となりました。同社の株価はおよそ30年ぶりに上場来高値を更新しています。

【VIEW POINT: 明日への視点】
日経平均は米国株安を受けての下落から戻しきれず続落となりました。今夜の米国市場では日本時間21時半に雇用統計が発表されます。昨日発表された先行指標であるADP雇用統計は市場予想を下回るやや軟調な内容でした。FRBの年内の再利上げ実施やバランスシート縮小開始時期に影響を与えるとみられ注目されます。

(マネックス証券 プロダクト部 益嶋 裕)