1.概況
本日の日本市場は、昨日にトランプ米大統領が税制改革について今後2、3週間以内に「目を見張るような」発表を行うと述べたと伝わり米国市場で主要3指数が揃って史上最高値を更新したことや、ドル円が大きく円安となったことから大幅反発となりました。309円高の19,216円と節目の19,000円を大きく上回って寄り付いた日経平均は、113円台前半で推移していたドル円がさらに円安に振れ113円台後半を付けたことから上げ幅を広げ10時半過ぎには470円高まで買われました。日経平均は上げ幅が500円近くなったこともあってさすがに19,300円台後半で上値を押さえられましたが、その後も大きく押すことなく19,300円台で堅調に推移すると14時半ごろからやや上げ幅を広げ14時50分過ぎには488円高まで上昇し本日の高値を付けました。結局、日経平均は471円高の19,378円と大幅高で取引を終えています。東証1部の売買代金はSQということもあって2兆7569億円となっています。また、新興市場では東証マザーズ指数が続落となる一方で、日経ジャスダック平均は反発し8日に付けた昨年来高値を更新しています。

2.個別銘柄等
引けは1.1%高に止まったものの、昨日の取引終了後に2016年12月期決算と同時に従来100株保有で年間2,000円だった優待券を6,000円に引き上げるなどといった株主優待の大幅な拡充を発表したすかいらーく(3197)が一時8%近く上昇し昨年来高値を更新しました。同じく昨日の引け後に第3四半期決算を発表した西武ホールディングス(9024)も6.7%高と大きく上げています。通期の営業利益を市場予想を上回る水準へと引き上げたことや、100億円を上限とする自社株買いを発表したことが好感されました。そのほかトランプ米大統領が日本の新幹線システムを評価し、米国でも高速鉄道網の整備を急ぐ考えを示したと伝わったことから日本車輛製造(7102)や川崎重工業(7012)、日本信号(6741)などの関連銘柄が物色されました。日本車輛製造は14.6%高と急伸し昨年来高値を付けています。一方で資生堂(4911)が7.1%安と大きく下げました。2017年12月期の営業利益が前期比23.7%増の455億円となる見通しを発表しましたが、500億円程度を期待していた市場予想に届かなかったことで売られました。三菱マテリアル(5711)は通期の営業利益の見通しを中国での超硬工具の販売落ち込みなどを反映し従来の610億円から590億円に下方修正したことで4.0%安と大きく下げています。そのほかピーシーデポコーポレーション(7618)が本日予定していた決算発表を延期すると発表したことで11.1%安と急落しています。

【VIEW POINT: 明日への視点】
三角保ち合いをどちらかに放れるのは日米首脳会談後と考えていた参加者も多かったのではと思われますが、本日の日経平均は大幅高となり三角保ち合いを上に放れ、一目均衡表の雲を上に抜け、25日移動平均線も大きく上回りました。そのため上値余地が広がる格好となっています。こうしたなか今晩からの日米首脳会談で円高や保護貿易主義などへの警戒感が払拭されれば1月4日に付けた昨年来高値(19,594円)の更新や20,000円の大台回復への期待も膨らみそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)