NYダウ: 19864.09 ▼107.04 (1/31)
NASDAQ: 5614.79 △1.07 (1/31)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場は高安まちまちとなりました。ダウ平均とS&P500株価指数は冴えない企業決算やトランプ米大統領の政策の不透明感を嫌気して続落となったものの、バイオ株への買いを支えにナスダック総合株価指数は小幅に反発しました。下落して始まったダウ平均は大きく切り返すことなくじりじりと下げ幅を広げると午後には190ドル安近くまで売られました。その後取引終盤で下げ幅を縮めたものの、結局107ドル安の19,864ドルと三桁の下げで取引を終えています。また、S&P500株価指数も2ポイント安の2,278ポイントと4日続落となっています。一方でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は1ポイント高の5,614ポイントと反発しています。
2.経済指標等
2016年11月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数で主要20都市圏住宅価格指数は前年同月比5.3%上昇し市場予想を上回りました。一方で1月のシカゴ購買部協会景気指数(PMI)は50.3と前月から低下し市場予想を下回りました。また、1月のコンファレンスボード米消費者信頼感指数も111.8と前月から低下し市場予想を下回っています。2016年10-12月期の米雇用コスト指数は前期から0.5%上昇しています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち資本財・サービスや金融、素材など6業種下げ、資本財・サービスは1%近く下落しました。一方で5業種が上げ、公益事業とヘルスケアは1%を超える上昇となっています。
4.個別銘柄動向
決算で売上高や1株利益が市場予想に届かなかったエクソンモービル(XOM)が下げたほか、同じく1株利益が市場予想を下回った物流大手のUPS(UPS)も大きく下げています。スポーツ衣料のアンダーアーマー(UAA)も決算で1株利益や売上高は市場予想を下回ったことで急落となっています。一方で薬品株が買われました。トランプ米大統領が大手製薬会社のトップと会談し国内生産を拡大させるとともに薬価を引き下げるよう要請したものの、新薬承認にかかる時間の短縮化も確約したことなどから会談に出席したメルク(MRK)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、セルジーン(CELG)、イーライ・リリー(LLY)、アムジェン(AMGN)などが上げています。携帯電話の新規契約件数の純増数が4年ぶりの伸びとなったソフトバンクグループ(9984)傘下のスプリント(S)も上昇しています。なお、取引終了後に決算を発表したアップル(AAPL)は売上高や1株利益が市場予想を上回ったことから時間外で上げています。同じく取引終了後に決算を発表した半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も最終赤字が大幅に縮小したことなどから時間外で上げています。
5.為替・金利等
長期金利は0.04%低い2.45%となりました。ドル円は、トランプ米大統領が製薬会社幹部との会合で中国や日本が市場で何年も通貨安誘導を繰り広げていると発言したことで一時は112円台前半まで円高が進みました。朝方は112円台後半で推移しています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
米国市場でダウ平均が三桁の下げとなったことや、ドル円が一段と円高に振れたことから続落でのスタートが予想されます。日経平均は節目の19,000円を割り込みそうですが、昨日に300円以上下げているだけに下げ渋る展開となるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)